「スクアーロのバーカ」


なんとも言えないチョコの甘ったるい匂いが、名前の部屋に広がっていた。




しかし、肝心の渡す相手は二週間前から任務でいない。その任務も昨日で終わるはずだったが、彼は帰って来なかった。


「……なにしてんだろ」


スクアーロの任務期間が伸びるなんてありえない。いつも期間通りに終わらせてくるか、それよりも早く終わらせるかなのに…。



…嫌な予感しかしない。もしスクアーロが帰って来なかったらどうしよう。もしかして、任務先で何かあったのかもしれない。





名前は部屋のベッドでうずくまって、腕を濡らしていた。


「う゛ぉおい、何やってんだぁ?」




顔を上げるとスクアーロが心配そうに名前を覗き込んでいた。


「すくあっー…ろっ」


「何泣いてるんだぁ?」


「ス、クが帰って来なくってー…死んじゃったかと、っ思って」


「…あぁ、悪かった。ちょっと街に用があってなぁ」


「街に…?」



スクアーロの腕に抱えられ、冷たい床からベッドに移動された。




二週間ぶりのスクアーロの匂いに、いつのまにか涙も止まっていた。



「これを買ってたんだ」


「ピンクの…バラ?」


「今日はバレンタインだったろぉ」


スクアーロはそう言うと、バラにキスを落としてあたしにもキスをした。



「…ーんっ、ふぁ」


「まだ、だぞぉ」


何回も何回も、本当に窒息死してしまうんじゃないかって思うくらいスクアーロはキスを繰り返した。




「まって…ースク、あたし、も」


「ん゛」


やっと離れたスクアーロを置いて、あたしはさっき作ったフォンダンショコラをキッチンから持ってきた。




「バレンタインだから…」


「…美味そうだなぁ、食わせろ」



フォンダンショコラを一口サイズに切って、あたしの口に押し込んできた。


「何するー…ふむっ」



スクアーロの唇が重なって、息をしようと口を開いたら熱い舌が入ってきた。


「…甘ぇな」


「…何回したら気が済むのよ、カス鮫」


「何回も、だぁ」






そう言ってスクアーロはまた、あたしの口にフォンダンショコラを押し込んだ。



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これでも甘くしようと頑張ったんですけどね、真白には無謀でした。

by 真 白






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