「ゔぉおい、席につけぇ」
「………マジか」
一時間目の英語はきっと英語ペラペラの素敵な先生かと思ったら、…スクアーロ先生だった。
あの人英語喋れるのかな?なんかこっちが緊張してきた。
「英語科担当のS・スクアーロだぁ。オレの授業で寝た奴は死んだと思え」
やばいよ、この先生恐怖でクラスを黙らせたよ。
前の席の京子ちゃんが怯えてるじゃないか。
「おら、さっさと授業に入るぞぉ。教科書を開け」
「…………教科書?」
え、教科書って授業の始めに配られるんじゃないの?なんでみんな当たり前のように出してるの?
「京子ちゃん、教科書っていつ貰ったけ?」
「昨日、山本先生に配られたよ?」
昨日…。そういえば、山本先生が用事があるとかで職員室来いとか言ってたような、言ってなかったような。
「雨芽、教科書はどうしたぁ?」
「…気分が悪いみたいなんで、保健室に置いてきました」
「教科書が気分悪くなるわけねぇだろ!!」
「先生、あたしの教科書は繊細なんです!わかってあげて下さい!」
「教科書の気持ちなんか分かりたくねぇ!!」
ダメだ。なんか良い言い訳が思いつかない。
こんなんなら、最初から山本先生のとこだって言えば良かった。
「てめぇは廊下に立っとけ」
「え、いつの時代の学校ですか?」
「いいから立っとけ!!」
スクアーロ先生って、絶対に低血圧だ。ぶつぶつと言いながら、あたしは廊下に立った。
…寒い。まだ4月といっても桜は咲いたばかりで、肌寒い季節だ。
こんなときに廊下に立たせるなんて、スクアーロ先生はドSか。
あたし的にはドMだと思ってたのに…。
「てめぇ…教室の中まで聞こえてるぞぉ」
「…あらまぁ」
鬼の形相と言ってもいいほどのスクアーロ先生。うん、ごめんなさい。
「学園長室行くかぁ?」
「それだけは勘弁して下さい」
結局、あたしは一時間廊下に立たされたままだった。
…いつか行うであろうスクアーロ先生への復讐計画を建てながら。
「雨芽、てめぇは昼休み職員室に来い」
「拒否権とかありますか?」
「んなもんねぇよ」
あたしのわずかな休息がたった今、スクアーロ先生の手によって壊された。
ハルちゃんと京子ちゃんがせっかくお昼に食堂行こうねって、誘ってくれたのに。
このカス鮫教師が。
昼休みまでの間、どうにかスクアーロ先生から逃げようと思ったけど、放送で呼び出されたから逃げるにも、逃げれなくなった。
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「嫌です」
「てめぇに拒否権はねぇんだよ。今日からてめぇはオレの雑用係だぁ」
「英語科係なんてただの名前じゃないですか!?」
「仕方ねぇだろ、教科書忘れたんだからよぉ」
「まだもらってなかったんです」
「あのとき素直に言えばよかっただろぉ」
職員室に入ってからの先生の第一声が「オレの雑用係になれ」。
いや、本当にこの人どうやって教師になったんだよ。
「前期だけだから、精々頑張れよぉ」
「え、前期だけなんですか!?」
「お前の態度によるがなぁ」
ニヤリと笑う先生…。そのメガネかち割ってやりましょうか。
このカス鮫先生、後期もあたしにやらせる気だ。
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11/03/28
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