「ゔぉおい、雨芽」
「なんでしょうか、カス鮫先生」
「オレはカス鮫じゃねえ!!スクアーロだ!」
「もうこの際、どちらも一緒です」
…というか、どうやって教室に入ろうかな。今頃は恒例の自己紹介とかしちゃって、クラスの仲が深まっているはず。
その中に入るのはちょっと気が引けるんだけど。
「てめぇの教室だぁ」
「うえっ!?ちょっと待って、まだ心の準備というものがー」
「緊張とかするのかぁ?」
「あたしを緊張しない人のように言わないで」
ゆっくり落ち着いて深呼吸。吸ってー吐いてー、吸ってー吐いてー。
…なんて言って入ろう?遅刻してすいませんとか、よろしくお願いしまーすとか?
「おい、オレは自分のクラスに行くからなぁ」
「ここまできて見捨てる気ですか!?友達にも見捨てられたことないのに!」
「オレはお前の友達じゃねぇ」
なんでスクアーロ先生は教師になったのよ、あれか、イケメンだから顔だけで通ったのか。うん、それなら納得できる。
「お前ら、教室の中まで丸聞こえなのなー」
「ふぇ?」
教室から爽やかなイケメンが出てきた。さっきの赤目さんといい、この学園やっぱり顔で決めてるんじゃないの…?
「山本、てめぇの生徒だ。あとは任せたぞぉ」
「ん?あぁ、蓮野か!」
「じゃあオレは行くからなぁ」
目の前のイケメンに見とれてたら、スクアーロ先生は呆気なくあたしを見捨てた。いや、見とれてたあたしも悪いけど。
「オレ、山本武っつーんだ。一年間よろしくな!」
「こっこちらこそ、よろしくお願いします!」
「じゃあ、蓮野の席はあそこな」
クラス全員の注目を浴びる中、あたしは山本先生に言われた席に着いた。…となりは欠席?
一番後ろの窓際のあたしは、なぜか空白になってる席が気になって、自己紹介が回ってきても気づかないほどだった。
「蓮野ー?蓮野雨芽ー?」
「はっはい、なんでしょう!?」
「いや、自己紹介してほしいのなー」
困った顔の山本先生も素敵…!って、そうじゃなくて。
「蓮野雨芽と言います。趣味はー…」
「遅くなりましたー」
あたしの自己紹介は、いきなり入ってきた緑の髪の男子に遮られた。
「おっ!!フランか、遅いぞー」
「すみませーん」
フランとかいう男子は、あたしの隣に何食わぬ顔で座った。いや、この人反省とかしてるんだろうか…?
キーンコーンカーンコーン。
「授業終わっちまったなー…。んじゃ、今日はここまで!」
ナチュラルに授業を終わらせた山本先生。いや、自己紹介中のあたしは放置ですか?しかも、横の人今来たばっかじゃん。
ざわざわと周りのみんなが帰宅し始めた。
…まぁ、これから一年あるから大丈夫かな。うん、そう信じておこう。とりあえず、今日は帰って昼ドラ見よ。
--------------------------------
山本先生はなんでもナチュラルに決めていきます(^o^)!
←→