「う゛ぉおい、着いたぞぉ」
「気のせいか誰もいませんけど」
当たりを見回しても、生徒や保護者はいなくて、あたしと銀髪のお兄さんしかいないんだけど。
「…入学式はもう終わったみてぇだな」
「ちょ、あたしの人生最大イベントをそう簡単に終わらせないで」
「んなこと言ってもよぉ」
遅刻したのは銀髪のせいだ。ちょっと顔がいいからって騙されるとこだった。
「てめぇ、今失礼なこと考えてるなぁ」
「気のせいです、自意識過剰です」
「キャラ変わってるぞぉ…」
さて、銀髪お兄さんは無視してこれからどうしよう。入学のパンフレットもないから、今のあたしはまさに迷子。いや、迷子じゃなくて迷子みたいな状況なの。
「しゃあねぇから、ついて来い」
「むぎゃ!?」
銀髪お兄さんに腕を掴まれ、ぐいぐいとあたしは校舎の中に引っ張られていった。この銀髪…あたしをどうするつもりよ。
「入るぜぇ」
銀髪お兄さんに連れて来られたのは、学園の奥の奥。いや、このお兄さんどんだけ奥進むのよ。
「…てめぇ、何してた」
部屋の中には赤い綺麗な目をした、こりゃまた銀髪のお兄さんと肩を並べるイケメン。なにこの学園、イケメンパラダイスなの!?
「あ゙ぁー…あれだぁ、新入生が迷っててなぁ」
「ちょ、あたしのせいにしないでよ!!」
このお兄さんありえない!自分も遅れてきたくせにあたしに、罪をなすりつけやがった!
「おい、女子生徒」
「は、はい」
やばい、このお兄さんかなりのイケメン低音ボイス。どこかの誰かさんと違って鼓膜も痛くないし!
「ゔぉおい!!聞こえてるぞぉ!」
「るせぇ」
「な゙っ!?」
銀髪のお兄さんの頭に、分厚い辞書が見事に命中。すごい、このお兄さんなんというコントロール力なんですか。
「…てめぇの名前はなんだ」
「雨芽です。蓮野雨芽!!」
「蓮野…カス犬のクラスだな」
カス犬…。ちょ、待て。あたしのクラスがカス犬ってどういうことよ。まさか受験の成績が人間以下だったから、犬にでも教えてもらえとか?…ありえる。
「山本武のクラスかぁ」
「山本…?え、人間の先生なんですか!?」
「あ゙ぁ?てめぇ、何しにここ来たんだぁ?」
とりあえず、カス犬と呼ばれている人は一応人間なんだ。というか、カス犬で分かる銀髪のお兄さんって一体…!?
「ゔぉおい、オレのクラスはどこだぁ?」
「まさかの生徒!?」
「「……」」
いや、イケメン二人から見つめられるのは嬉しい。だけどそんな冷めた目で見ないでよ!あたし、おかしいこと言ったの!?
「カス鮫はてめぇの隣のクラスの担任だ。」
「たん、に…ん?」
赤い目さんが喉でくつくつ笑っている。イケメンは笑い方もイケメンだなー…。って、横から冷たい視線を感じる。今、横を向いたら絶対に殺される。
「てめぇ、オレをなんだと思ってたんだぁ?」
「い、いや学校関係者とは思ってましたけど」
「急に敬語にならなくてもいいんだぜぇ?」
ニヤニヤと笑ってくる銀髪お兄さん。いや、銀髪先生。なんだかすごくむかつく。でも、先生だから今後のことを考えて、ここは潔く謝った方がー…。
「黙ってねぇで、なんか言えや」
「ゴメンナサイ、センセイ」
「思いっきり棒読みじゃねぇか…」
あたしの迫真の演技を見破られた…。とりあえずよかったのは、銀髪先生が担任じゃないこと。この際、銀髪先生じゃなかったらカス犬でもなんでもいいよ。
「聞こえてるぞぉ」
「いや、あたし喋っていませんけど」
「思いっきり口開いてたぞ」
「ドウモ、スミマセンデシター」
きっとあたし、この先生は合わない。これからの学園生活が不安になってきました。むしろ不安よりも恐怖です。
「てめぇら、用がねぇんならさっさと行け」
「おぅ」
「し、失礼しました!!」
今まで黙っていた赤目のお兄さんは、重たそうな辞書を構えてあたしたちを狙っていた。この学園の安全性も心配になってきた…。
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スクア−ロせんせー(^o^)ザンザス君が早弁してまs(何
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