「へへーん、こっから抜け出せばスクアーロ先生も分かんないでしょ」
「てめぇ、なにしてやがる」
「…………………あらま」
見つかったぁあああ!!なんでここで先生が出てくるんだよ!
あれか、あたしのストーカーかっ!?
「…何考えてんだぁ?」
「うげっ」
「普通二階の窓から飛び降りねぇだろ」
意を決して二階の窓から飛び降りようとしたら、制服の首のところを猫を掴むみたいに掴まれた。
「なんでここにいるんですかー…?」
「雨芽の考えてることは手に取るように分かるんだよ」
「あたし先生と以心伝心になりたくない」
「考えることが単純だっつてんだぁ!!!」
うぅう…脳みそがぐわーんってする。鼓膜の近くで叫ばれた…。
先生、自分の声が周りを害してるって分かってないのかな。
「さっさと降ろしてください」
「うるせぇ、このままだ」
「いやいやいや、また周りの痛い視線浴びないといけないじゃん」
「いい気味だぁ。雨芽が逃げねぇようにしてやってんだから感謝しろぉ」
「感謝じゃなくて殺意が芽生えました」
「なんか言ったかぁ?」
「ナンデモナイ、アタシハナニモイッテイナーイ」
スクアーロ先生ってあたしのこと女子と思ってるのかなぁ…。いや、人間と思ってくれてるのかすら疑問だ。
「せんせー今からなにすんのー」
「やる気のねぇ声だすな。夏課題をクラスごとに仕分けしてもらう」
「ついにクラスの域超えた!?なんであたしのクラス以外の面倒まで見てやらないといけないんですか!!!」
「夕飯は食堂でおごってやるからよぉ」
「やる」
…ん?思わず返事しちゃったけど、今が夕方の5時だから…あたしの夕食タイムは7時。…2時間も労働させる気かっ!?
「いーやーだー」
「二言はねぇだろ」
「うん、それ男の人だからね!しかも昔の武士だからね!」
「…………。」
無視しやがった!!なにこの教師、いつかあたしがスクアーロ先生の首のとこ掴んでひこずってやる!
xxx
「今何時!そうねだいたいね〜」
「うるせぇ、そしてうぜぇ」
「…先生、今何時だと思ってんの?」
「七時半」
「あたしの夕食タイムって7時なんだけど」
あれから2時間半、休憩なしで労働。しかも一年生の分だけでなく全学年分。…食堂で一番高いの頼んでやる。
「雨芽が課題を全部ぶちまけるのがいけねぇんだ」
「あんな重たいのを女の子に持たせる先生が悪い」
「悪りぃ、女だったのか」
…女と見ていなかったらしい。あれだ、先生もいつか孤独死するタイプだ。
あたしの孤独死する人リストの二人目は先生だ。もちろん一人目はフラン。
「疲れた、今ならこの埃まみれの部屋でも眠れる」
「あと少しだぁ……ん゙、終わった」
「よっしゃぁああ!!うん、食堂行こう!」
「急に元気になりやがって…」
長かったなぁ。うーんどうしよう、食堂で一番高いっていったらなぁ…。食堂行ってから決めよっ!
「そういやぁ、お前ってなんで三食食堂なんだぁ?」
「へ?」
「ミスコンのとき言ってただろぉ、寮生じゃなかったら三食食堂なんてありえねぇだろ」
「だって食堂を愛してるもん」
なんであたしが三食食堂だなんて、あたしから滲み出ている食堂愛でわかるでしょ?今ならだしが取れるほど。
「もん、じゃねぇよ。たまには親の飯を食え」
「…あぁ、あたし親いないから」
「な゙っ」
「あ、先生!早くしないと食堂閉まるよ」
食堂のおばちゃん時間にだけは厳しいからなー。9時までにメガトン級松坂牛のハンバーグ作ってもらって食べなきゃ。
「ほら、早く!」
「お、おう」
(あれ?山本先生!)
(ん?蓮野とスクアーロじゃねぇか)
(…先生、今食べてるのって)
(メガトン級松坂牛のハンバーグだぜっ!ラス1ぎりぎりだったけどな)
(スクアーロ先生なんかハゲてしまぇええ!)
(なんでオレなんだぁ!?)
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