学園祭当日。これでもかってくらい空は青く雲一つない。
そんな中、あたしはメイド服を着て教室の前に立っている。
「い、いらっしゃいませ……にゃん」
「笑顔がひきつってますよー」
「語尾がにゃんって誰が設定したのよ」
「もちろんミーですー」
執事服を着たフランと客寄せをするまではよかった。
でも、暇だからってしていたしりとりでフランに負けたあたしは罰ゲームとして、語尾ににゃんがついた。
「完璧にあたしの学園生活終わった…」
「脳みそからして終わってるんで、その辺は心配しなくて大丈夫ですよー」
「あたしの脳みそはまだ健康なはず…」
あたしとフランの格好に興味がわいて入ってくるお客さんは多い。
おかげで、店はかつてないほどの大繁盛…。そのせいかなかなか休憩がない。
「クフフフ、なかなかですね」
「………へ?」
…パイナップルが喋った。でもよく見たら顔がある。というか人の形してる。
あれか、新種のパイナップルなのか。
「あっれー?師匠じゃないですかー」
「え、フラン。パイナップルの知り合いがいるなんて初めて知った」
「これはパイナップルじゃなくて、ナッポーですよー」
「どちらも違います。僕は人間です」
確かに、よくよく見たらおかしな髪型以外は人間だ…。
しかもこれまたイケメンの。
「六道骸といいます」
「ふぇっ、あ、えと蓮野雨芽です」
「雨芽、ですか…。クフフ、そのメイド服似合ってますよ」
「ありがとう……ございます」
なんかよく分からないイケメンに褒められた。見たことない人だから先輩…かな?
「しかし、これほど妖艶にメイド服を着こなせる方がいるとは…」
「………師匠セクハラですー」
腰のラインに沿って触ってくる六道先輩。
え、本気でセクシュアり…セクシャ…セクシュアルハラちゅ…噛んだ。
「決めました、雨芽。君は生徒会に入りなさい」
「………へ?」
「君なら生徒会マスコットキャラの座も夢じゃないですよ!」
「マスコットキャラって何ですか!?」
「さぁ、僕と一緒に生徒会室という愛の巣へ!」
「いや、ちょ、腕ひっぱらないでくださいよ!変態南国果実!」
いきなり意味の分からないことを叫び出す六道先輩。周りの視線が痛いんだけど…。
フランなんか他人のふりしてるし。
助けてくれたっていいじゃんか!このドSが!
「ほら、行きますよ……グハッ!!」
「風紀を乱す奴はたとえ誰であろうと、咬み殺す」
「風紀委員長の雲雀さん!」
同学年で謎の出世を遂げ、風紀委員長になったという噂の雲雀さんが、変態南国果実を殴ってくれた。
「やぁ、雨芽。風紀委員会に入る気になったかい?」
「いや、その話は前に丁重にお断りしたはず…というか、足の下大変なことになってますよ?」
雲雀さんの足の下では変態……じゃなくって、六道先輩が無残にも踏みつぶされていた。
「僕は生徒会長だろうと容赦しないよ」
「生徒………会長?」
「師匠はボンゴレ学園九代目生徒会長ですよー」
「うえええええっ!!この六道先輩が!?」
「そ、そんなに驚か…なくても…ガハッ」
身を起こそうとした六道先輩は、雲雀さん愛用のトンファーによって呆気なく倒されてしまった。
いや、でも人は見かけによらないということを初めて知ったよ。
「この変態は風紀委員で預からせてもらうよ」
「かまいませんよー。煮るなり焼くなり好きにしてくださーい」
「ちょ、フラン!師匠である僕を見捨てるつもりですか!?」
「今日は耳が定休日ですー」
フラああああン!と叫びながら、六道先輩は雲雀に連れて行かれた。
ぐっばい、変態南国果実先輩。そしてもう当分は来ないでほしいです…。
「ところで六道先輩って、フランの何の師匠なの?」
「簡単に言うとー人生の師匠ですー」
「……人生の?あの人でいいの?」
「ミーも分からなくなってきましたー」
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後でぼこぼこになって帰ってくる六道先輩←
11/04/04
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