学園に入学して3ヶ月が経った。



あの桜並木も今では、青葉が茂っていかにも夏ですよーって訴えるようになった。

そんな中、ボンゴレ学園は学園祭の準備に追われていた。


毎年、保護者や地域住民の人もたくさん訪れるビッグイベントらしい。

イベント好きのあたしにはもってこいだ。



「嫌だ、無理、そんなん着るくらいなら死んでやる」

「普段まったく役に立たない雨芽がやっと役に立つんですよー」


「あたしだって、きっと地球のために何かできるはずよ」

「もう手遅れですー」


フラン君からフランに変わった隣の席のこいつ…。

親しいからって調子に乗っているらしい。


「この服来て扉の前に立っとけばいいんだよ」

「黙れ、ドS、鬼畜」

「ほめ言葉として受け取っておきますー」


「だいたいなんであたしたちのクラスの出し物が、メイド執事喫茶なのよ!?」



そう、ことの発端は二週間前。


ちょっと夏風邪をこじらせて休んでいたあたしは、学校に来た瞬間「メイドになれ」と言われた。


「雨芽ちゃん、雨芽ちゃんなら似合うよ!」

「き、京子…」


「雨芽ちゃんはキューティーですよ!」

「ハルまで……そんな、」


だったら2人が着ればいいじゃないか!

フランが言うにはこの2人が、あたしがいない間にあたしをメイドに推薦したらしい。


「着てみて似合わなかったら辞めればいいじゃないですかー」

「……なるほど」


あたしにメイド服が似合わないなんて、誰もが分かるぞ、この野郎。

だったらここで着てクラスの前だけで恥をかいた方が、よっぽどマシだ。


「ちょっと着替えてくる」

「本当に雨芽って扱いやすいですねー」


あたしが教室を出て女子更衣室へ向かっているとき、フランがそんなことを言ってたとも知らずに。


「うわぁ……流石にこれはないや」


際どいミニスカートに白のニーハイ。しかも肩だし。

ネコミミまでついてるって誰の趣味だよ。


「…どうやって教室まで行けばいいんだ」


着替えたのはいいものの、教室まで帰る手段がない。

…猛ダッシュで帰ればバレやしない。うん、頑張れ!あたしの足!


足に気合いを入れてドアをあけた瞬間、一番会いたくない人に会ってしまった。



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11/04/01








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