あの後、ルッスーリアが駆け付け、ある程度の処置をし、紫織を連れてウ゛ァリアー邸に帰った。
今、腹部に傷を負った名前は俺のそばでベッドで落ち着いて寝ている。
「やっぱりここにいたんですねー」
「悪いかよ」
「別にいいんですけどー…。それにしても名前。すごいですよねー」
「……。」
「処置が駆け付けるまで、僅かに自分で何とかしてたみたいですよー。多分名前じゃなかったら完全に死んでたって、あのオカマが言ってましたよー」
「ふーん…。」
フランは言うだけ言ってこの部屋から去った。
やっぱりお前はすげぇよ。
相手にやられたときから力振り絞って自己再生してたって…――。
絶対ボスなんかに見放されるわけねぇって…。
「ん…痛っ…」
「大丈夫か?」
「あ、うん」
「お前さ」
「うん」
「無理すんなって言ったじゃん」
「ごめん……。――でもね」
名前は服のポケットをゴソゴソと漁り、俺の前にある物を名前の得意な笑顔でだしてきた
「はい、これ。ボスに渡しといてくれない?今回頼まれていたもの…―」
ある物とは今回の任務で取ってくるよう言われてたリングのことだった。
「自分で渡しに行けばいいじゃんかよ。」
「だって…」
名前の顔は今にも泣き出しそうで不安げだった。
「だって、怖いんだもん…」
………………
「怖いんだもん…」
そう言えばベルは唖然として黙ってこっちをみている、と思いきや、ベルとの距離がなくなり優しく包み込まれた。
「……っ!!」
「お前意外とメンタル弱いんだな」
「う、うるさい…」
「大丈夫だって言ってんじゃんかよ」
「なんで?なんでよ…」
「オカマも言ってたけど、お前、僅かにしか残ってなかった力で自己再生してたんだろ?」
「……。」
声で反応はなかったが、小さく頷いてくれた。
「お前、強いしさ。頭いいしセンスあるし…。とにもかくにも、ウ゛ァリアーでは必要な存在だと思うぜ?」
「ボスも人材が名前だし…、ないとは思うけどさ…、だけど、一つわかっていることがある」
「な、に…?」
「俺がボスだったらお前のこと、手放すようなことはしないかな」
「…ありがとう。ベルは優しいね。」
「今わかったのかよ。」
名前自身、気がすむまで抱いてやろうと思ったけれど、
名前がポロポロ涙を流している感じがした俺は、名前自身ではなく、俺自身、気がすむまでと考えがかわっていた
( 知ってるつもりで知らなかった )