正一は天才。
技術も才能も何に関しても。
そして...
「正一、好き..だよ??」
あたしの彼氏である。
だけどその天才な正一は、あたしに対しての愛情表現を、少ししかしてくれない。もう付き合って1年がたとうとしているのに...
「ねぇ、正一...」
「ん?なんだい?」
正一はメカを整備しながら、あたしの呼びかけに耳をかたむける。目をみて話してくれればいいのに...
「正一さぁ、あたしに大きな愛情表現したことないよね..」
「そんなことないさ」
そんなこと、ありすぎるよ。
もうすぐ1年に1回しかないあたしの誕生日がやってくる。
他人からしたら普通の日。
だけど、大好きな人には盛大に祝ってもらいたいとか欲を言うけど、とくに何もなく一言で終わっていきそうだ、おめでとうって。
沈黙の中、カチャカチャとメカをいじる正一。
あたし、もうすぐ誕生日なのに祝ってくれなさそう。
そして、とうとう秒針も分針も12をさしてしまった。
「名前!ちょっと外来てくれないか?」
正一はさっきまでいじっていたメカをかかえ、あたしの腕を引っ張りながらメンテナンス室を出ると暗くて寒い外に連れ出された。
「ちょっと、どうしたの?」
「待ってて。よし、空をみて」
正一は再びメカをいじり、言われたままに空を見上げてみた。
すると、正一の一言「行くよ」の後にかすかな音をだし、空高くあがったところで大きな冬の花火が広い空に開いた。
「き、きれい...。それに...」「名前が喜ぶと思ってさ、僕なりの、あ、愛情表現でシンプルにハート型の花火さ」
花火。普通は夏に開くものなのに..ただでさえきれいなのに..
こだわったりするところが正一っぽくていい。
やっぱり機械に夢中でもあたしは正一の彼女だと改めて思う
「名前...」
「何?」
「好きだよ。そしてお誕生日おめでとう。」
少し顔を赤く染め言う正一はなんだか可愛い。
「ありがとう」
あたしと正一はこれからも一緒にいようと誓いキスを交わした。
( 優しいキスをして )
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