「お帰りなさーい」
「あぁ」
こいつは俺の女、名前。数ヶ月前にツナが雇った新人。ついさっきまで、オレはこいつを愛してた。
「ご飯作ったんだよ!」
「…………」
「リボ−ン?どうしたの?」
「しらばっくれるんじゃねえぞ」
今日ツナから報告があった。ボンゴレに、あるマフィアのスパイが侵入していると。
…そのスパイは数ヶ月前に侵入し、しかも女だという。
「どうやって欺いたんだ?」
「…………」
名前は最初の方は何か言いたそうな顔をしていたが、次第に険しくなっていった。
だが、口を開いたときにはその表情は妙に落ち着いていた。
「いつバレたのかしら?」
「やっぱりお前か」
「そうよ、ボスの命令でボンゴレに潜入し、貴方に近づいたの」
「…目的はなんだ?」
正直、信じたくはなかった。けど、女ってもんは化けるんだな…。
昨日までオレに微笑んでいた名前は、今は妖艶に笑う女スパイだ。
「最強のヒットマンの暗殺よ」
「だろうな」
オレに近づくといったら、情報を聞き出すか、暗殺しかねえ。
名前に気づかれないように、オレはスーツのズボンのポッケにある愛銃を握り締めた。
「ねぇ、貴方の仕草は全部分かってるわ」
「!?」
オレが銃を握り締めたと同時に、名前はオレに銃を向けやがった。
「お前みたいな女とは上手くいくと思ってたんだがな」
「残念、あたしは最初から白蘭様しか見てないわ」
お互い一歩も譲らねえまま、時間は過ぎていくばっかりだった。
オレも人の子だ。例え敵のスパイだとしても、一度愛した女を撃つのは躊躇してしまう。
「さようなら、リボーン」
「それはこっちのセリフだぞ」
バンッという銃声を響かせ、オレたちは同時にお互いを打った。
正直、死んだかと思った。だが、オレにはかすり傷ひとつもなく、目の前には血まみれになった名前がいた。
「……?」
名前がいくら女でも、ボンゴレに雇われるほどの戦闘能力を持つ女だ。
この距離ならオレの心臓を打ち抜くことだって簡単なはずだ。
「どういうこどだ」
オレは名前が持っていた銃を確認した。……その銃に弾は込められてなかった。
「名前、おい名前」
名前の身体をゆすっても、唇は堅く閉じられ血色を失っていた。
もしかしてこいつは、分かっていたんじゃねえか?いつかこうなることを。
だから、最初から銃を空砲にし、オレを傷つけねえようにしたのか…。
「…すまねぇ」
もう名前の唇はオレを愛してるとは言ってくれねえ。
名前が最後に言った言葉が本当かは分からねえが、オレは名前を今でも愛してる。
「Ti amo 名前」
オレはもう目を開けない名前に、静かにキスを落とした。
銃声と愛に埋もれた君
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大人リボ−ンのかっこよさがどうしても出せない件について(^p^)
by 真 白
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