「委員長ー、暑いです」


夏休み、夏といえば海!プ−ル!カキ氷!すいか!学生たちは勉強から解放される日々!

なのになんで、あたしは並中の応接室にいないといけないんですか。しかも、気温30℃なのにクーラーつけてない。

いや、正確に言うとさっき委員長が壊しやがった。委員長の馬鹿野郎、鳥野郎。


「名前が逃げるからでしょ」

「わーお、委員長、人の心が読めるんですか?」


委員長に心読まれているのなら、今のあたしは確実にいない。心の中で何回委員長のことを呪ってきたのか分からない。

いつも、何かあるとあたしを雑用に使う委員長。あげくのはてに強制的に風紀委員副委員長。草壁さんはどこへやら。


「馬鹿かい、君は」

「馬鹿って言うほうが馬鹿ですよ、委員長のばーか」

「はぁ」


あたしに呆れてしまったのか、委員長はまた書類に目を戻した。暇だから、あたしもソファの上で書類に判子を押す。

暑い、外では野球部のボールを打つ音とセミの声。今頃、あたしを今日プールに誘ってくれたツナたちは楽しんでるかなー…。


「委員長、大変です」

「何?」

「飽きました」

「……。」


あ、委員長が何こいつ、って目であたしを見ている。いや、しょうがないじゃん。みんなが遊んでるのに、あたしはなんで寂しく書類整理なんかしてんのよ!

遊びたい!泳ぎたい!むしろここから出れるならどこへだって行ってやる!


「委員長、かまって下さい。てか帰らせて」

「はぁ」


本日2回目の委員長のため息。いや、あたしだってため息つきたいわ。でもそんなことしたら、委員長からトンファーが飛んでくる。

あれでおでこをぐりぐりされると地味に痛いんだよね。


「しょうがないね」


あ、委員長がこっちに来てくれた。え、ていうかなんで顔近いんですか、近くで見ると美形すぎてやばい。不覚にも心臓の鼓動ははやまっていく。

ちゅ。

軽いリップ音を立てて委員長はあたしにキスをした。って、キス!?いやあれですよね、恋人同士がするやつ。

あたしと委員長って恋人?いやその前に何?部下と上司?なんだか頭がぐるぐるして混乱してきちゃったぞ。


「もうちょっとで終わるから待ってなよ」


真っ赤になったあたしは何も言えなかった。


魔法使いにはされない

--------------------------------------------------------------------

雲雀さんはク−ルかツンデレが美味だと思う真白氏。そして名前変換が少ない。

by 真 白



「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -