――授業後の君をいつも追いかけているのは気のせいかな…――
あたしは帰りのホームルームが終わってからすぐには帰らず、屋上に寄って落ち着くのが日課、だった…――
いつからだろう、追い掛けるようになったのは…
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いつも通り何事もなく、平和に過ごしたあたしは、屋上に向かいフェンスから景色を眺めていた。
意外にも景色がいいことがわかってから、あたしはいつもこの場所に来ている。
それともう一つの理由がある…――
いつからか、グラウンドで活動している部活動のとある生徒に惚れてしまったようだ。
きっかけは以前、ふとグラウンドのほうを見てみれば、きれいなエメラルドグリーンの髪をもち、グラウンドを走っているあの人に惹かれてしまった。
クラスの女の子にきいてみたところ、同学年で名前はフランというらしい。
結構このクラスの女の子たちからは人気とのことだから、きっと他のクラスの人も気にかかっているんだろうなぁ…
あたしは今日もグラウンドを眺める。
「っ!!」
何と言うことに目が合ってしまった!と言うより、そんな気がしたため、あたしは反射的に死角で見えないようにしゃがんで身を隠した。
何やってるんだ、別に隠れる必要なんて一切ないのに…
あたしは再びグラウンドのほうを見てみたが、目立つ髪の持ち主が見当たらない。
「何してるんですかー」
「っ!!?」
さっきまでグラウンドで走っていたはずの彼が、私の目の前に現れた。
なんだ、陸上部って足の筋力ハンパないのか?ここ4階なんですけど…―
「結構、ここにきてますよねー、授業後」
「う、うん、景色がいいんだよね、意外に。」
「ですねー、意外に」
やたら意外にを強調しながらも、彼はあたしの隣まで歩み寄って景色を眺めているようだ。
「今度部活の大会あるんですよねー」
「そうなんだ。優勝、できるといいね。」
「今回は強豪ばっかりみたいなんでー、不安なんですよねー。」
「大丈夫だよ、フラン君…充分足速いし」
ん、なんかあたし今変なこと言ったかな…?
フラン君がこっちをみてボーッとしている。あ、いつもか。
「なんでミーの名前知ってるんですかー?」
し、しまった…!!
初めて話すわけなのに、相手からしてみれば疑問だよね。
「そ、それは同学年みたいだし、そんな目立つ髪色してたら有名だよ」
「まぁ何でもいいですけどー。あーなんか自信わいてきましたー」
「そっか、よかったよかった!」
「じゃあ、そろそろ部活戻りますねー」
「うん、頑張ってね!」
「あ、名前ー。また部活の様子みにきてくださいー」
「あ、うん」
彼は片手を挙げて屋上から立ち去った。
気になったのは何故かあたしの名前を知っていたということ…――
苗字を知っているならまだしも、下の名前を知ってるなんて…――
( あたしのタイプだって気づき始めたの )
中途半端すみません
紫織
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