Valentin's Day | ナノ
for Reever



「班長しっかり!」

「そうッスよ、しっかり!」


これから起こす行動を考え今から緊張して机に突っ伏したら、あちこちから声がかかった。分かってる。しっかりやるから、今はちょっと放っておいてくれないか。そう思っていたら、扉がノックされた。ここへの扉をノックして入るやつなんて、名前くらいしかいない。俺はすぐに席から立って扉へ向かった。
扉を開けてやると、頬にガーゼを張った名前が立っていた。いつもはジョニーかろくじゅうごが開けているから、俺が突っ立っていてびっくりしたんだろう。少し目を見開いたあと、ふんわり笑った。ああくそ、かわいい。


「リーバー、」

「おかえり」

「ただいま」


右手を突っ込んだポケットの中で、箱が存在を主張していた。はやく渡せと。
名前の手を取って科学班から出る。どうしたの?後ろから名前の声が聞こえるが、とりあえずちょっと返事は保留。誰もいないとこっつったら科学班の倉庫しか思いつかなくて、そこまで引っ張って行って扉を閉める。


「あ、チョコレート欲しいの?リーバー」

「え?いや、そういうんじゃ……」


ずっと黙ってこんなところへ連れてきた俺の意図を勘違いしたのか、名前はいそいそとポケットから小さな袋を取り出した。本当はちゃんとしたのあげたかったけど、任務先で時間がなくて、と苦笑いで。


「今年はな、名前、俺もプレゼント用意したんだ」


名前からもらったチョコレートを左のポケットに入れて、左側のポケットからずっと握りしめていた小さな箱を取り出した。なあに?と首をかしげる名前の前に箱を出して、ゆっくり開ける。ああ、思ったより恥ずかしいな。


「?指輪……?」

「………仕事ばっかで、一緒にいる時間もあまり作ってあげられないけど……」


結婚してくれるか?



To the one I love you.
(僕がたった一人愛する君へ)




 


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