Valentin's Day | ナノ
for Sanosuke



「せ、先生!」


たくさんの女子からチョコレートをもらって、顔には出さねェが少し疲れていた放課後、呼び止められた。この声は、と少し自分の頬がゆるむ。生徒に手は出したらいけないと分かってるからまだ手はだしてねェが、卒業したら付き合おうな、なんて約束をしてる名前が紙袋片手に走ってきた。


「どうした?」

「ど、どうしたって、……わかってるくせに!」

「はは、悪い」


ほい、と左手を差し出したら、真っ白な紙袋が手の上に置かれた。頑張って作ったの、と名前はうつむきながら制服のスカートを握って言った。頑張って作ったの。頑張ってつっくったの。誰のために?そりゃもちろん、俺のために。
急いでまわりを確認して、名前を階段の下の空いているスペースに連れ込む。ここはちょうど死角になってるからな。


「ちょ、先生!」

「もちろん、食わせてくれんだろ?」

「いや、自分で食べて、んむっ」


かわいくラッピングされた箱からトリュフをひとつつまんで名前の口に押し込む。真っ赤になった名前がかわいくてついつい口元が緩んだ。チョコパウダーがついた唇に、噛みつくようにキスをする。



I have a crush on you.
(あなたに夢中です)



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