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悲しいディープブルー



「あのね、報告したいことがあるの」

「報告?」

「うん。たぶん、びっくりするよ」


名前が俺の頬を撫でた。その手を離さないように掴んで引き寄せる。一瞬ためらって、遠慮がちに俺の腕の中にはいってくる。
たぶんコイツはこのあいだの頂上戦争のことを気にしてこんなことを言っているんだろう。俺は白ひげ海賊団の一番隊隊長、こいつは本部海軍の中将。戦争にこいつは参加していなかったが、やっぱり気まずいらしい。


「あのね、」

「早く言えよい」

「私、海軍やめてきた」

「………は?」


名前の言葉に、思わず間抜けな声が出た。海軍を、やめた。そう名前は言った。名前が海軍にはいった理由は聞いている。小さいころ街を襲った海賊を捕まえたくて入ったらしい。まだ、その海賊は捕まってない。なのに、やめた?


「な、んで、」

「なんで?そんなの、簡単だよ」







わけがわからないといった顔をしているマルコの首に腕を回す。なんで私が海軍をやめたか?そんなの簡単だ。
今にも壊れてしまいそうなマルコを支えるため。このあいだの戦争でマルコは大切な人を二人も失った。サッチさんも少し前に亡くしているから、三人になる。本人はバレないようにしてるみたいだけど私には分かる。街を襲った海賊は今でも憎いけど、私はそれより今、マルコのそばにいてあげたい。


「マルコ、私は、絶対にそばにいるから」

「……っ」



名前は、バカだよい。

満更でもないくせに。


仲間の前で泣けない彼に、私の前だけでは泣いていてほしかった。






悲しいディープブルー
(じゃあ、私今日から海賊になるから!)
(名前が海賊って似合わないよい)



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