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Good bye sun




※エース死ネタ。何の救いもなし。







「エー、ス」


エースが死んだ。マルコさんの言葉はすとんと胸に落ちてきて、色水を水面に落としたように心に広がっていった。波紋を描いて私の心を侵食していく。エースが、死んだ。


「そ、んな」
「名前ちゃん」


ぐらり、崩れ落ちる体をマルコさんが支えてくれた。ふらふらしていた私をまっすぐ道に迷わないように支えていてくれたのは、いつもエースだったのに。この手は、違う。そう思った瞬間マルコさんの腕を振りほどいてしまった。自分でも何をしているのか分からなくて、答えを求めるようにマルコさんを見た。マルコさんは私と視線を合わせず、足元を見ていた。


「………うそ」
「……嘘じゃない、よい」


世界がぼやける。鼻がつんとした。だめだ、泣いちゃだめだ、私が泣いたら、現実になってしまう。認めたことになってしまう。それだけは嫌で涙をこらえるように上を向いた。お前、せっかくかわいんだから上向いて歩けよ。出会って間もないころエースに言われた言葉が頭を横切る。自身も笑顔もなかった私に、エースは温かさをくれた。私の中でお日様みたいに輝いていたエースは、もういない。


太陽をなくした世界は、どうなるのだろう。



「教えてくださって、ありがとうございました」
「いや………」


まだ何か言いたげにしているマルコさんに笑顔を向けて、言外に帰ることを強要した。私の肩を一回ぽん、と叩いてマルコさんはお店から出て行った。静かに閉まる扉をしばらく見つめて、踵を返して台所に向かう。
目当てのそれを手にとって、台所の窓から見える太陽を見る。目が痛かったけど頑張って視線を逸らさないようにして笑った。私は、エースみたいにきれいに笑えてるだろうか。





「エース、怒らないでね」







Good bye sun







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