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too sweet

長いようで実際は短い片思い期間を終えて、めでたくこの間俺は名前と結婚した。家は名前が俺の実家に来たり、俺が名前のアパートに行ったりまぁ、色々や。最近は名前のアパートに入り浸り気味やけどな。
名前はほんまええ奥さんや。共働きやけど、俺のほうが遅く帰った日にはちゃあんとホカホカの風呂は沸いてるし、うまい飯もあるし、掃除とか洗濯までなんだかんだまかせっきりや。ありがたくて頭上がらん。

名前のアパートは、リビングから台所が普通に見える。俺は今ソファーに座って洗濯物を畳みながら、晩飯を作ってくれてる名前をガン見しとる。今日は珍しく二人とも早く帰れた。
そういや、最近思うんやけど、俺世界一幸せ者ちゃうか?器量よし、性格よし、料理よし、仕事も優秀な嫁が居るのなんて、世界探したら俺だけやと思う。あ、世界まで行ったらおるか。日本の中では俺だけや。


「柔造さん、顔、にやけてはりますよ」


さきまで真剣に料理しとった名前が、俺のほうを見てへらりと笑った。あああああ笑った顔もかいらしい。畳んどった洗濯ものを隣へ放り投げて台所に行く。カレーのいい香りがした。


「今日カレーか?」

「ええ、中辛ですよ」

「俺、なんか手伝うか?」

「あ、ほな、キャベツ切ってもらえますか?サラダの」

「おん。わかった、キャベツな」


名前の腰に手をまわして抱き寄せて額にキスをする。幸せそうな顔をした名前が愛しくて、ぎゅっと抱きしめてからすぐに離してキャベツを切りにかかった。あかん、止まらなくなるところやった。この間台所で襲って名前怒らしてしもーたから、気ィつけんと。
台所に二人で並んで、他愛ない話をしながら料理をする。幸せすぎてどないしよ。誰かこの風景写メってくれんやろうか。金造と廉造に自慢したい。
そんなことを考えながらも、手だけは動かしてザクザクキャベツを切っていく。言っても二人分やからそんなに時間はかからず、手早く皿に盛り付けた。名前はカレーの鍋をかき混ぜながら鼻歌を歌っている。

我慢できんようなって、後ろから抱きしめた。怒られてもええわ。怒ってる名前もかいらしいからな。


「柔造さん!」

「名前はカレーかき混ぜとってええで」


首筋に顔をうずめると、なんや甘い匂いがした。やけにその首筋に噛み付きたくなって、力を入れんように噛み付いたらかいらしい声がした。


「じゅう、ぞう、さん」

「あー、やっぱあかんわ」


コンロの火を消して名前をこちらに向かせ、そのまま噛み付くようにキスをした。キスなんか数えきれんくらいしとるけど、名前とのキスはいつでも幸せになれるし、ドキドキもする。なんや俺、こないがっつくなんて。中学生か。
余裕のない自分に苦笑しながらエプロンの紐を解いていく。


「カレー……」

「あー……、焦げてへんて。あとで食おな」

「……もう」



ほんまに誰か、俺の惚気話聞いてくれんやろか。




too sweet





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結婚式と結婚生活で迷いましたが、結婚生活にしました。
台所イチャイチャ!
リクエストありがとうございました!




 


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