いろはにほへと | ナノ
はじまりました

「……はい、終了」


奥村先生の声に俺たちはいっせいにシャーペンを置いた。裏にしたプリントを廉造が集めに来てくれる。

合宿ということで奥村兄弟が暮らしている廃きょげふんげふん、旧男子寮に来てから割り振られた部屋に荷物を置き、それからただ勉強勉強勉強勉強勉強エンドレス。あ、違う、終わりあった。まあとりあえず、今まで経験したことないくらいぶっ通しで勉強した。


「今日はここまで。明日は6時起床、登校するまでの1時間答案の質疑応答やります」
「嘘だろ、6時とか、はっ……ぜってー起きれん」
「叩き起こしますからね、水野くん」
「うえええ」


奥村は頭から湯気を出しながら頭冷やしてくる、と言って外に出て行った。まあ、無理もないわな。ほんで、女子組は風呂に行くらしい。キャッキャ?しながら部屋から出ていった。
ニヤリ、廉造と二人で顔を見合わせて笑う。


「うはは、女子風呂か〜、ええな〜」
「うんうん、こりゃもう、共同合宿の楽しみのひとつだよな」
「「覗き!!」」


お互いに指差しながら声をそろえていったら、勝呂と子猫丸からもんのすごい批判をくらった。特に廉造のほうが。ここに奥村が居たら話に乗ってきたかもしれないのに、つまんねーなー。


「志摩!!お前仮にも坊主やろ!水野も乗るなや!」
「また志摩さんの悪いくせや」
「またまたー」
「そんなん言うて二人とも興味あるくせに〜」

「一応ここに教師がいるのをお忘れなく」


二人で勝呂と子猫丸をからかっていると、横から奥村先生の冷ややかなお声がかかった。廉造は果敢にも奥村先生に絡みに行っていたが、秒殺。ふへへ、ざまあみろ!と笑っていたら、勝呂が俺を呼んだ。


「なあ、水野」
「お?なに」
「お前、銃持ってるんやろ?」
「??持っとるよ?どしたん」
「その、……俺に見せてくれんか?」


この言葉で納得が行った。最近勝呂が俺のこと、つーか主に俺の鞄、をキラキラした目で見てきたのは銃見たかったからなのか。なるほどなるほど。俺は座るとき邪魔だからと腰のホスルターからはずしていた愛用の銃を机の下から出した。
確か俺が祓魔の実践訓練を始めだした10歳の誕生日にじいちゃんがくれた銃だ。グロック17ってやつ。大体がプラスチックで出来ているため軽いのが特徴だ。ほんで、デコボコが少なくシンプルなつくりで俺はすごく気に入っている。


「ええよ。……ここの、トリガーの部分のセーフティははずすなよ」
「おおきに!」


真剣な目つきで俺の銃を色々な角度から見ている勝呂を俺は机に頬杖をつきながら眺める。あー、そういや勝呂も竜騎士志望つってたもんなー。


「あ、そういや、奥村先生も竜騎士持ってましたよね?」
「僕ですか?持ってますよ」
「奥村先生の銃はどんなんですか?」
「僕のは」


奥村先生が銃を取り出そうとしたとき、部屋の扉がもんのすごい勢いで開いた。バァン!うわぉ!思わず変な声をあげそうになった。隣に居った勝呂がびっくりして俺の銃を落としかけてわたわたしとったけど、見ないフリをしてやろう。扉のほうを見ると、肩で息をしている杜山さんがおった。


「雪ちゃん!燐が!お風呂場に屍が!」
「なんだって!?」


杜山さんが奥村先生を連れて走って出て行く。ん?"燐が"?奥村がどしたん?"お風呂場に屍が"?え、風呂場?杜山さんが来たってことは、女子風呂に、屍?ってこと?だよな?それ、やばいじゃん!


「勝呂銃返せ!俺も行く!」
「ま、待てや!俺も!」
「坊!」
「志摩さん、行きますえ!」
「ええ、めんど〜!」






俺らがついたころには、すべて終わってました。



「で、誰が朴さん運ぶん?」
「体格的に勝呂くんか水野くんでしょう。どちらかお願いできますか?僕は報告しに行かなければならないので……」
「俺俺!俺運んであげるよ!」
「誠さんはダメやね」
「ダメやな」
「俺が運ぶわ」
「なんで!?」
「下心丸見えや阿呆!」
「しょぼーん」
「気色悪いわ!自分で言うなや!」





朴さんを運んであげられませんでした。

 


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