いろはにほへと | ナノ
合宿の前の日



「俺手騎士向いてないわ」
「僕らもですよ」
「子猫丸は猫とか召喚できそうなのにな」
「ははは!確かになぁ!」


ネイガウス先生の授業で初めて悪魔を召喚しようとした。まあ、俺は出せんかったけどね。ちなみに他の男メンバーも同じく。出せたのは杜山さんと神木さんだけだった。杜山さんが神木さんに話しかけとったけど、神木さんはもんのすごい嫌味で返しとった。杜山さんは気づいてなかったみたいだけど。んー、女子は怖いからなぁ。

その後最近おなじみのメンバーになりつつある奥村、勝呂、子猫丸、廉造、俺で教室帰ろうとしていると何故か杜山さんが神木さんのパシリみたいになっとった。
え、ほんの少しの間に何があったん!?
それを思ったのは奥村もらしい。


「なんだあれ、しえみがまろまゆの付き人みたいになってるぞ」
「まろまゆ?」
「神木さんのことやね」
「あ、奥村、俺も思ったそれ」
「そうだろ?おかしいよなあれ」
「遊んどるだけやろ」


奥村と二人して向き合って腕を組んで首をかしげる。女子の考えてることはよくわからん。姉ちゃんと妹がおっても分からん。奥村は見たところ姉妹は居なさそうだけど、どうなんじゃろうか。


「奥村は女兄弟おるん?」
「俺は雪男と二人だぞ?」
「あー、ぽいわ。お前らは?」
「俺は姉が二人おりますわ」


どうやら廉造にはお姉さんが二人いるらしい。祓魔師にはならずに、普通の人のところに嫁いで行って、正月くらいにしか顔を合わさないらしい。他にお兄さんが四人いると聞いてすごいびっくりした。一番上のお兄さんは青い夜で死んでしまったらしく、実質三人。子猫丸と勝呂は一人っ子らしい。
教室から出ながら兄弟の話に花を咲かせる。


「誠くんは兄弟いるんですか?」
「俺は姉と妹がおるよ」
「見たい!」
「絶対志摩は食いつく思たわ」
「お前の姉ちゃんも志摩の姉ちゃんみたいに結婚してんのか?」
「いや、俺の姉ちゃん祓魔師だし、まだ二十歳だし、結婚はまだだと思う」
「ほな、金兄と同い年や!」


金兄?俺のいっこ上の兄ちゃん、ちなみにドアホ。
それから三人で勝呂と子猫丸に一人っ子について聞いてた。寂しいのか否か、部屋は一人部屋なのかなどなど、やっぱり違うんだなーと思った。いいな一人っ子。


そういや、姉ちゃんは元気だろうか。妹は家に帰れば会えるからいいとして、姉ちゃんは仕事であちこち飛び回っとるし、中々会えないからな。べつに、シスコンてわけじゃないけど、心配だ。大事なことなのでもう一回言うけど、シスコンではない。


「ほな奥村くん、誠くん、また合宿でな〜」
「またな!」
「じゃねー」


手を振ってみんなと別れる。適当な扉に鍵を差し込んで回せば、寮の俺の部屋。ジャンケンで勝って一人部屋だ。

久しぶりに姉ちゃんと妹にメールでもしてみよう。




ちなみに、勝呂くんの視線はずっと僕の鞄に向けられていました。



 


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