いろはにほへと | ナノ
志望称号は何?
あの一件以来勝呂と奥村のいざこざは目に見えて減った。よかったよかった。これで俺の平穏が戻ってくる、と思いきやそんなことはなった。まさかの合宿。合宿があるらしい。
「俺マイ枕がないと寝れないんだけど、持っていっていいかな」
「なんやのマイ枕て」
「俺がいつも使っとる枕。低反発でペンギンの形しとってな」
「ペンギンて、やけにファンシーですなぁ」
「なあ、」
俺のお気に入りの枕について語っとったら、奥村がさっき配られたプリントを持ってやって来た。どうやら称号が何かを聞きに来たらしい。そんなことも知らんのか、と呆れる勝呂に対し、子猫丸は奥村に丁寧に説明していた。さすが子猫丸。でも途中から説明するのが勝呂にかわっとった。
「じゃあ、俺は騎士だな!」
「そーいや、いっつも剣提げてはるね」
「あ、剣なんだ。俺バットかと思っとった」
「バットがこんな和な感じの袋に入ってるわけねーだろ」
「確かにそうか、」
「誠くんは何志望なん?」
「俺は竜騎士と医工騎士志望。あと取れたら詠唱騎士かな」
「3つも取らはるん!?」
「あーいや、銃はもう扱えるから、実質2つ」
「そういや誠くん、リーパー事件のとき銃出してはりましたもんね」
そんな話をしていたら、いきなり勝呂がそわそわしだした。俺のほうをチラチラ見たり、俺の席のほうをチラチラ見たり。……え、何、キモチワルイ。そんな挙動不審な勝呂に子猫丸と廉造は気づいていないらしかった。奥村と三人でほのぼの話に花を咲かせとった。ちょ、ちょ、どうにかしてよ勝呂くん。俺めっちゃ見られてる。めっちゃキラキラした目で見られてるよ!なんだその少年の如き目は!いやだ普段とのギャップが凄すぎて勝呂が直視できないよ!
「あ、ネイガウス先生入ってきたから、俺席戻ろーっと」
勝呂の熱い視線を背中に受けながらそそくさと自分の席に帰る。なんなんだあの視線は。
勝呂くんに羨望の眼差しを向けられました。