いろはにほへと | ナノ
お友達一号
「えー、とー、はじめまして。水野誠です。あー、これから、どうぞよろしくお願いします」
新学期とかによくありがちのあれ、俺の苦手なあれ、自己紹介、が済んで、俺はふらふらしながら席につく。あー、つかれたー。
昨日の授業中、なんか色々あって悪魔が大量発生しちゃって、授業が中断した。俺も悪魔倒せますよー、手伝いましょうか〜、と手を挙げて先生を助けようかと思ったけど、やめた。なんでか?めんどいもん。
とりあえず、先生とバットかなんか持ってる少年との何かのゴタゴタが一段落ついて、その日は別の教室で授業が再開になった。
でも魔障を受ける儀式をし終わったら時間が足りなく、自己紹介は今日に延期になったってわけだ。
席についた俺に、通路を挟んだ隣の席のピンク頭が話しかけてきた。俺の前に自己紹介しとったやつだ。確か、志摩だっけ?
「水野くんはどこの人なん?」
「え、どこの人って、……日本?」
「そら知ってますえ。どこの県の人なん?」
「あぁ、なるほど、俺ね、岡山」
「岡山!えらい遠いなぁ!」
「まあなぁ、つか、なんで俺が東京じゃないの分かったん?」
「気ぃつけとったんかも知れんけど、やっぱ東京の人らの発音とちゃうから」
「あー、なるほどなー」
岡山弁は汚いことで有名だから気を付けて話していたけど、もういいか。こいつも方言で話してるし。
「そーゆーお前はどこ?関西のほう?」
「俺と、あっちのお二人は京都なんですよー」
「そーなんか、ええなー、京都、」
これからよろしゅうなー。と志摩が握手を求めてきた。このなんとなく緩い感じ、気が合う気がする。
とりあえずおれも手を握り返す。
「おう、よろしくー。そっちのお二人も、よろしくな」
「よろしゅう」
「よろしくおねがいしますね」
えーと、えーと、三輪?と勝呂?だっけ?にも挨拶して、俺は前を向いた。
とりあえず、話せる奴ができたのでよし、と。
あっちの方の席の人らとも話さんとなー。
志摩くんと握手をしました。