いろはにほへと | ナノ
初任務ですよ



「初任務が、物資運びねー……あ、勝呂そっち持って」
「正直……なんや期待はずれって言うか……おう、持ち上げるぞ、せーのっ」


勝呂と力をあわせて大きい木材を運ぶ。初任務はまさかの山奥への物資搬入だった。おいおいまじかよ、さすがにこれには閉口した。昨日メールして分かったんだけど、廉造は多摩川にバリヨンとりに行ってて、子猫丸はリーパーの檻の掃除らしい。みんなショボイ任務ばっかり。あー、つまんね。しかし、暑い。


「あー……あっちー」
「こんな暑いと、たまらんな」
「そうじゃなー……ここらで下ろすか」


二人で持っていた木材を地面に下ろしたところで、現場監督のおっさんから休憩の合図がはいった。お言葉に甘えて休憩を取ることにする。
二人そろって木材の上に座って、首からさげているタオルで額の汗を拭う。あー、あっちー。でも寒いのよりは全然マシか。そんなこと思っていたら、勝呂がおっさんからペットボトルの水を貰って持ってきてくれた。お礼を言ってペットボトルの水をガブ飲みする。


「これ、バイト代でるかな」
「阿呆。任務なんやからバイト代なんぞ出るか」
「うわ、蚊。これなら多摩川の廉造のほうが勝ち組だったかも知れんなァ」
「……水野、は」


一応持ってきていた銃を分解したり、組み立てたりしながらぐちぐち不満ばっかり言ってる俺に、急に勝呂が真剣な声で話しかけてきた。んー?銃を腰のホルスターに戻して勝呂のほうに向く。


「俺、竜騎士希望やねん」
「うん。知っとるよ?どしたん」
「お前から見て、素質、あると思うか?」


勝呂からの意外な言葉に、持っていたペットボトルを落としそうになった。素質……こいつ完璧に努力でカバーするやつだと思ってたから、そんなこと気にするのか。俺の驚きが伝わったのか、俺だってなぁ!とかなんとか怒鳴ってきたけど、耳を塞いでスルーする。


「素質、なぁ……まぁ、俺も正式に竜騎士の免許持ってるわけじゃないから、当てにならんかもしれんけど」
「それでもええ。この先の進路決めるのに、参考にさせてもらうだけやから」
「それ結構重要……。そうだなぁ、勝呂は目もいいし、反射神経もあるから、向いてると思うぜ。銃を持ってるって安心感で周囲の警戒を怠るようなやつでもねーし、素質は十分だろ」
「そう、か」


ほっとしたのか、勝呂の眉間の皺が少し少なくなった。
そっから、勝呂にはどんな銃がいいか、とか、二人でガントークに華を咲かせていた。話していてわかったんだけど、俺はどうやら勝呂に少し頼られているらしい。多分、授業の射撃訓練で成績がいいから、かな?悪い気はせんけど、すこしくすぐったい。
はは、まぁ、いいか。


「おーい!お前ら!休憩終わりだ!」
「へーい……うし、運ぶか」
「そうやな」




勝呂君と山奥で任務です。







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