いろはにほへと | ナノ
実技授業です

〜in道場

えー、今は塾の実技の授業中。最近は内容もちょっと高度なものになって、前みたいにリーパーと追いかけっこしなくてもよくなっていた。ちなみに最近は男子は組み手とか、剣道とか、射撃練習とか、そんな感じ。
ところで俺思うんじゃけど、廉造ってあいつ素人?たまにとんでもなく素人離れした動きを見せんだけど、なんで?あの廉造がだぜ?わからん。
今も勝呂と組み手してる廉造をガン見している。あ、またすげー避け方した。


「なぁ、子猫丸」
「なんです?」
「廉造ってアイツなんかやってたん?」
「志摩さんですか?スポーツとかは、何もやってへんよ?」
「うーん……」


悩んでいたら、椿先生の止めの合図で二人が畳の両端に立ってお辞儀をしてこっちに向かってくる。こんどは俺と奥村だ。勝呂と廉造と入れ違いで畳に上がる。すれ違ったときに誠くん俺んことガン見やったやん!とか廉造に肩を叩かれた。え、バレてたん!?


「おい誠!はやくやろーぜー!」
「お、おお」


ほんま廉造何者!?と思いつつ畳に立って礼をする。邪魔なのか、前髪をゴムでしばってる奥村と正面から顔を合わせたらなんか笑えて、噴出したら奥村が怒った。


「いやだって、お前、その頭ですんの?」
「いーじゃねぇか!前髪邪魔なんだよ。ピンだとあぶねーし」
「まあ、ええけど。んじゃやるか」


俺は奥村を見つめて、とりあえずボクシングの構えを取った。


「はじめ!」


椿先生の声が、道場に響いた。






〜in射撃場


「「「おお……」」」


俺、廉造、奥村と感嘆の声がハモッた。奥村先生すげー射撃上手だ。いや、銃騎士なら普通か?


「あくまでも訓練ですが、決して銃口を他人に向けないようにしてください。万が一のことがあるかもしれませんから」
「はーい」
「ではそれぞれの位置について」


バッティングセンターみたいにスペースが区切られている一角に俺は入る。右隣には勝呂、左隣には奥村がいる。
うちでしていた射撃訓練はひらひら落ちてくる落ち葉にBB弾ブチ込むか、コールタール打ち落とすかどっちかだったから、静止してる的を打つのは初めてだ。普通逆だろうけど、俺に訓練つけてくれたじいちゃんは中々めちゃくちゃな人だから仕方ないか。
腰を落として銃の反動に耐えられるようにする。


「まず、銃を持っている手がブレないように、肩に力を入れすぎないようにしてください。セーフティははずれてますか?………今から二十秒間、的が出ます。的には赤い丸印がついているので、それを狙って打ってください。焦らないで、じっくり狙ってくださいね。それでは、始め!」


ガコンッ、人型の的が出てきた。赤丸印は五つ!楽勝!
にやりと笑って、俺は引き金を引いた。






「いやーやっぱ射撃が一番楽しいな。五発とかよゆー」
「……なんなん誠くん、ほんま人間??」



実技授業が一番好きです。




 


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