いろはにほへと | ナノ
やられました


ボヒョッ!
一気に杜山さんの使い魔の腹から出てた木が消えて、俺達と屍の間には何もなくなる。さすがに神木さんもびっくりしたのか、杜山さんに駆け寄っていた。俺が銃の弾を装填している間に廉造が屍に向かっていった。


「のやろォ…!」


俺も廉造に当たらないように銃で応戦するけど、撃って当たったところからどんどん回復していくし、もう銃の衝撃に慣れたのか屍がひるんでくれない。くっそ、なんで祓魔塾生に対悪魔用の弾丸の使用許可出てないんだよばかやろおおおお!!あ、廉造の武器ふっとばされた!


「しもた!!」
「おい!!」


慌てて腰のホルスターからナイフを取り出して勝呂の前に立つ。廉造はまぁ、武器飛ばされただけだからまあ放っておいて平気だろう。意識を目の前の屍に集中させる。神木さんが杜山さんを呼ぶ声が聞こえた。


「くっそ!!」


勝呂の頭を掴もうと屍の腕が伸びてきた。その腕をナイフで払って、屍の懐に飛び込む。その首らしきところに力いっぱいナイフを突き立ててやる。俺の頭を横から殴ろうとしてきた腕をかわしてしゃがんで、そのついでに足払いをかける。
倒れた屍に追い討ちで銃を打ってやろうとしたら、屍が体液を俺にぶっかけやがった。

とっさに腕で顔を庇ったものの、腕が焼けるように熱い。


「あ゛っっ!!!」
「水野!!"ふるえ ゆらゆらとふるえ… 靈の祓!!!"」


神木さんが使い魔を出して、何かしてくれたお陰で、近くにいた勝呂に体液はかかることはなかった。焼けるように熱い両腕に意識が遠のきそうになる。廉造が俺の名前を呼んでる気がしたけど、もう気を失いそうだ。


「誠くん!!」
「あっ、電気が……!!」


明るい光にうっすら目を開けたら、勝呂が屍に頭持たれとった。俺、頑張って守ろうとしたんだけどな、ダメだったか……。まだまだじゃなぁ。じいちゃん、姉ちゃん、ついでにかわいくない妹よ、俺はもう……。


「"その録すところの書を載するに 耐えざらん!!!"」


勝呂の凛とした声が聞こえたのを最後に、俺は意識を手放した。






勝呂くんがやってくれました。





 


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