Je vous aime. | ナノ
おかえりなさい
朝飯を食い終わって、さて仕事仕事と家を出ようとしたとき、25にもなって彼女のひとりも居らんのかつって金造がバカにしてきよった。
とりあえず一発ぶん殴っといた。
俺にだって、好きなやつはおる。
そいつはうちのエロくて阿呆な末っ子の友達の姉ちゃんでもあり、俺の幼馴染でもあり、俺の部下でもある三輪清。
子供が大好きで、俺のもう一人の幼馴染の蝮の唯一の女友達と言っていい、とりあえずふわふわしとってよく笑うてるやつ。
ちなみに、俺が気持ちに気づいたのはついこの間。
中一級祓魔師の称号を手に入れて、本部からここに配属になって帰って来た清に、がっつり惚れた。
(えらいかいらしくなりよった。)
ただいま、柔兄。
そう言って花が咲くように笑うた顔は、俺が今まで知っとった、あのあどけなさの残る笑い顔やなくて、大人の女のそれやった。
おう、おかえり。中一級なったんやってな、おめでとう。
ほんまは心ん中大パニックやったけど、周りにお父とかお母とか弟達とかおったから、普段通りに頑張ってみた。
ありがとう。これからまた、よろしくおねがいします。
ペコリ、俺に頭を下げた瞬間、清からふんわり甘い香りがした。
あかんて、あかんてこれは。
じゃあ子猫丸のところに行ってくね、そう行って走り去って行った清の後姿から視線が逸らせん。
「柔兄、顔赤いでー?」
「あっれえ、清ちゃん、ごっつかわいなったなぁ」
金造と廉造のそんな言葉も遠くで聞いて、俺は真っ赤になった顔を隠すようにしゃがんでいた。