Je vous aime. | ナノ
出発しますよ!



朝起きたら、何故か志摩家にいた。あ、そうだ、昨日仕事終わってから子猫丸と志摩家にお邪魔して、中学生達の宿題を見てあげて、なぜか晩御飯を作ってあげて、中学生達と金造くんとみんなでご飯食べて、また宿題再開して……再開して、あれ?何したっけ。あれ、記憶が、ない。


「あれええええ!?」
「お、清起きたんか。おはようさん。朝飯出来てるから着替えたら居間来いよー。あ、着替えは、とりあえずお母の浴衣着といてくれ。枕元あるやろー」
「は、はい!」


柔造さんの声に反射で返事をして、慌てて枕元に置いてあった紺色の浴衣に袖を通した。あ、これ鈴子さん、柔造さんのお母様のお名前です。じゃなかった、鈴子さんの浴衣なんや!あ、感動してる暇なかった。はよ居間いかな!
軽く髪を手で撫でつけ居間に向かう。と、にぎやかな声が聞こえた。


「金兄ええやろ!これから旅行や旅行!」
「だまっとれタレ目!ええんや、お前がほいほい遊んどる間に金造様は遥か高みへ行ってお前のこと見下ろしたるわボーケ!」
「はぁ!?うちみんなタレ目やろ!つか、俺のこと見下ろす?よく言うわもう身長変わらんのに。俺まだ伸び盛りやからそのうち金兄やこ踏み潰してまうわ!」
「どんだけでかなる気やねん!」
「お前らええ加減にせぇよ!!」
「柔造、お前もうるさいわ……」


賑やかな居間からのやりとりに襖の外から苦笑しながら中に入る。見ると、取っ組み合いを始めようとしてた金造くんと廉造くんを、柔造さんが殴り飛ばして止めていて、それを坊が細めで見守っていた。子猫丸は坊の隣で苦笑い。


「朝から元気ですねえ」
「おっ、清、来たか」
「姉さん、おはようございます」
「清さんおはよう!お母の浴衣似合うなぁ!」
「清、はよう」
「聞いてや清ちゃん!廉造が俺のこと踏み潰すとか言うんやで!!」


金造くんが不満を言いに飛びついてきたから、軽くかわして子猫丸の隣に座る。
私はこっちに来てから一人暮らしでアパートを借りていて子猫丸と別々に暮らしていたから、二人で並んで朝ごはんはとても久しぶりなことだった。二人で顔を見合わせて、ちょっと笑いあう。


「金兄と喧嘩して荒んだ心に子猫さんと清さんのやり取りはしみるわぁ」
「お前らもあんな感じでホワホワしてくれたら、兄ちゃんは大助かりなんに」
「は、俺が廉造とほわほわ?きっしょくわるいった!!柔兄また殴った!」
「お前らうるさいねん。少しは子猫丸と清見習ったらどうなんや……」








そんな感じで、朝ごはんを食べ終わった。
金造くんは恨めしそうな顔で仕事に行って、私たちはそれから、大忙しで旅行?というか、柔造さんが計画を立ててくれたキャンプの準備に取り掛かった。柔造さんが大きなワゴンを借りてきてくれて、その中にみんなでテントやらバーベキューセットやらをつめる。その間に私はアパートに帰って着替え、荷物を取りにいった。
戻ってきたら、なぜか廉造くんが坊と柔造さんに殴られていた。また一体何をしたんだ彼は。

そして午前11時、みんなでワゴンに乗る。


「清、免許持ってるやんな?」
「はい。持ってますよ。でも、大きい車は運転したことなくて……」
「あ、それは大丈夫や。俺が運転する。隣で地図見ててくれるか?したら俺安心なんやけど」
「いいですよ!」
「おおきにな!ほな、みんな乗れー!廉造何ちゃっかり助手席乗ってんねん。お前後ろや後ろ」


さて、出発です!





 


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