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宿題は徹夜が基本


そっからは早かった。

お父にかかる負担が少しでも減るように仕事を先取り先取りして終わらせて、少々溜め気味だった書類も片付けて、とりあえず頑張った。思い返しても俺はえらく浮かれてたんやと思う。
その間清とはまったく会わんかった。後で蝮から聞いた話やと、正十字騎士団本部のほうへ出張に行っていたらしい。なんや、俺聞いてへんけどなぁ。


結局、廉造とも話合って決めた結果、当初の俺の予定通り二泊三日で一日目が海、二日目が山で行くことになった。丁度いい穴場も知っとるし、あそこは海綺麗やからな。清喜ばすにはもってこいな所や。あ、違うた。今回は坊や廉造や子猫のための旅行やった。
えーと、食い物はあっち行ってから買うやろ、車は出張所のやつからワゴン借りるし、えー、コテージの予約も済んだ、テントは明日ワゴン来てから中積むやろ、水着は買うてきた、花火も買うた、それと……、

指折り確認していきながら徒歩で家に帰る。今何時やろ思って携帯を開いたら、携帯のディスプレイは23時と映してた。はー、よぉ働いた俺。
金造から10分前にメールが来ていた。柔兄はよ帰ってきたほうがええで!なんやろか。アイスでも買うてきてくれたんか?

"おん、今帰っとる"

返信を打って携帯を閉じた。そんときにはもう家の玄関に着いとったけど。


「ただいま」


玄関を開けて気づいた。あれ、靴多い。しかも女物まである。金造のドアホが女の子連れ込んだんやろうか。いや、お父が許すわけあらへんしな。
少しだけ早足に居間へ向かって、障子を開けた。


「あ、柔兄〜!待とったんやで!」


障子を開けて目に入ったのはプリントプリントプリント、大量のプリントと机に突っ伏して寝ている廉造と坊と子猫丸、と、清。と、毛布を持ったまま右往左往している金造。
足元に散らばっているプリントを拾ってみてみる。右上に勝呂竜士って書いてある、多分これは坊のプリント。どうやら夏休みの課題らしい。もう一枚は完璧答え写したのが丸分かりな廉造のプリント。起きたらどついたろ。それと、几帳面な字で書かれた子猫丸のプリントもあった。
そういや、廉造に宿題終わらせとけ言ったなあ。


「宿題しとったんか?」
「そーみたいや……別に廉造は蹴飛ばして起こしてもええけど、他三人はそうはいかんやろ?で、ここで廉造蹴飛ばしたら他の人ら起きてまうし……どないしよ」
「運ぶしかないやろ……どうして清までおんねん」
「宿題見てあげてたで?あ、あと今日お母が近所の集まりや言うて晩飯作らんと出かけてって、代わりに清ちゃんが晩飯作ってくれたで!」
「なんやと!?食ったんか!?」
「おん!めっちゃうまかった!」
「……ほーか。金造兄ちゃん帰ってきたら手合わせしような」


両手を持って廉造を引きずっていく金造に笑いかける。子猫丸を横抱きにして持ち上げた。軽っ!こいつほんま廉造と同い年なんか思うくらい軽かった。そういや、清も軽かったしなぁ。やっぱ兄弟やから似るんやろか。


「……柔造?」
「あ、坊、起きはりましたか」
「あー、宿題しとったんか……すまん」
「いえいえ、このまま家泊まって行けばええですよ」
「あー……お言葉に甘えさしてもらうわ」


坊はそう言って隣の部屋に敷いてた布団に何とか這っていかはった。子猫丸もその隣に寝かせておいた。


「廉造どないしよ」
「一緒でええやろ」


てことで、廉造の寝場所も決定。
あと困るんは、


「清ちゃんは?」
「……一緒てわけにはいかへんもんなぁ……」


二人して頭を抱えて悩んだが、答えは出そうにない。






二人で悩んでたらお母が帰ってきた。お母は何事もないような顔で、ほな私の部屋に布団しいたって。と言って、結局清はお母の部屋で寝ることになった。

横抱き、いわゆるお姫様抱っこしたときの清の重みが忘れられなくて、今夜は寝不足になりそうや。




 


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