Je vous aime. | ナノ
頑張れ俺



清も一緒。

今回の旅行は、清も一緒。


そのことで頭がいっぱいになりながら家へ帰る。玄関で草履を脱いでいると、コンビニ袋を持った廉造とばったり出くわした。どうやらアイスを買いに行っていたらしい。廉造がつっかけ代わりに履いてたビーサンを脱ぐまで待つ。


「柔兄もアイス欲しいん?ゴリゴリくんでええなら一本あげるけど……金兄には内緒やで?」

「や、まあ、ほな貰っとくわ」


居間に行こうと二人して並んで歩く。廉造背おっきくなったなぁ。前はこーんなちっこかったのになぁ。一人しみじみする。そんなことを思ってたら、廉造が歩きながらゴリゴリくんの袋を開けようとしたから殴る。食べ歩きはあかんえ!


「痛いやん柔兄……」

「自業自得や。あ、せや、お前今週中に夏休みの宿題全部終わらせとけよー」

「え……?何ですのいきなり」

「坊と子猫にも言っときや。終わったら柔兄が旅行連れてったるさかいな」

「旅行!?」


最初は訝しげに聞いてた廉造も、旅行と聞いて顔がきらめいた。なんや、こいつのこんな顔見るんは小さい頃以来やな。久しぶりに廉造で和んだわ。


「え、坊と子猫さんにも言っとけってことは、三人で行けるん!?」

「ちゃう保護者入れて五人や」

「ん……?ちょお待って、五人?柔兄の他にもう一人来るん?」


はっ、まさか金兄か!?と廉造が床に両手両膝をついて絶望しとった。まだ誰も金造や言ってへんのに、そんなに嫌なんか。思わず苦笑いをしてしまった。金造もなー、アイツの廉造への愛情表現歪んどるさかいな。まあ、仕方ないか。
じゃなかった。


「おい、廉造。金造ちゃうぞ」

「ええ!?ほんまに!?」

「清や、清」

「あ、清さんか、せやな。子猫さんのお姉さんやしね……柔兄大丈夫なん?」


ニヤニヤ半分、哀れみ半分で廉造に見つめられる。ぽんぽんと廉造の頭を撫でて風呂場に避難する。

清と旅行は素直に嬉しい。しかも海には絶対行くから水着姿が見れる。もうえらい嬉しい。けど、俺は手出さずに居れるんやろうか。や、そりゃ坊に誓って手は出さへんけど、色々きついこともたくさんあると思う。主に下半身的事情が。あかんあかん、こないなこと言ってるからダメなんや。忘れよう。純粋に旅行を楽しむんや柔造。焦って清に嫌われるのだけは避けなあかん。でも、アタックするにはいい機会なんやないか?

おし、頑張るんや柔造。





 


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