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夏休みの計画



「は……?」

「せやから、坊と廉造と子猫連れてどっか遊び行って来い」


仕事が終わって家に帰ろうと出張所の玄関に立っていたときお父に呼び止められて所長室に連れて行かれたら、そんなことを言われた。いやいや、なんで?お父何言っとん、


「いきなり、やな、」

「あいつら来年からは東京でしばらく帰って来れんやろ。和尚さまから頼まれたんや。何か思い出になることしてくれて。今まで親言うても俺も和尚さまも寺のことがあってあいつら遊びに連れていってやったことなかったさかいな。言うても、俺は所長やからそうそう簡単にここ開けれん。せやからお前、どっか連れてったってくれるか?四日なら休ませたるから」


お父はそう言って俺の前に"夏休み徹底遊び!ガイド"なるもんを置いた。和尚さまがそんなこと言わはるなんて意外や。その前に、あいつらを遊びに連れてくくらいむしろ大歓迎やけど、俺かて曲りなりにも一番隊の隊長や。お父ほどやないけど、そうそう簡単に他の奴に代わりが務まる立場やない。四日も空けていたら、さすがに仕事も滞るんやないか。かといって代わりを頼めるやつもおらん。例えば、同じ身内の金造とか。……無理や。あいつが俺の代わりに隊長の仕事しとるところなんぞ想像しただけで恐ろしわ。


「俺は別にええけど、連れてってる間一番隊の隊長はどないするん?金造に代わりはムリやと思うで」

「阿呆、金造に代わりができるかいな。それは心配せんでええ。俺かどうにかする。てことやから、頼むな、柔造」

「はぁ、まあ、大丈夫ならええけど。分かったわ。連れてく」

「おおきに」


お父はそう言って俺の前にクレジットカードを置いて、金はこれで払え、と言ってくれた。お父太っ腹!カードを貸してくれたことと休みをくれたことに礼を言って、自分の財布にカードを入れる。さて、どこに連れて行こうかいな。俺はさっそくお父がくれたガイドブックを開けて目を通す。山は必須やな。ロッククライミングは……、まあ、今回はやめとくか。夏やから海ははずせんやろ。海が近い山行って、キャンプでもするかな。コテージでも借りて、一泊はそこで、もう一泊は山のテント。二泊三日。一日は準備日やな。その間にあいつらに宿題終わらせといて………、


「あ、お前だけやと大変やろうから、清ちゃんにも頼んどいたからな。五人で行ってこい」



「は?」


まさかのお父の言葉に、俺は色んな意味で言葉を失った。え、清と一緒?まじか。




 


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