Je vous aime. | ナノ
懐かしいその姿



「ほな、清はあっちに居る魔障者の手当てしてきたってや。俺はこん悪魔倒してから行くさかい」

「わかりました。お気をつけて」


柔造さんはニッコリ笑って頷いてくれた。頼もしいなぁと思いながら私は魔障者が寝かせられているお寺の中へ走った。




幸いにも重度の魔障者は居らず、手当ては思いのほか早く終わった。手持ち無沙汰になってしまった私は、寺に遊びに来ていた女の子と男の子と遊んであげている。
手当てが終わってすぐ柔造さんのところに行ったのだけれど、既に悪魔を退治し終えていた。和尚さんと後始末についての話があるから待っていてくれと言われ、境内をふらふら散歩していたら子供が居た。話を聞くと、ここの小坊主の友達らしく、遊びに来たけどその子はちょうどお使いでいないらしい。それじゃあ暇だからと遊んでいたところだ。


「お姉ちゃん、お手玉して!」

「いいよー。でもお姉ちゃん、人を待ってるんだ。その人が来るまでだよ?」

「ひとぉ?」


境内にあった少し大きめの石に腰掛けて、お手玉を始める。すごいすごいとはしゃぐ女の子がどこかに行かないように手を握ってあげている男の子。ああ、なんか和む。


「うん、人」

「おねえちゃんのだんなさん!」

「違うよ!お仕事のね、人なの」

「そんなこといって、カレシなんだろー!」


男の子のほうが少し年上みたいで、喋り方もいくらか女の子よりしっかりしていた。から、彼氏なんて言って!男の子と女の子は二人で顔を見合わせてニコニコ笑っている。
かわいい、かわいいけど、このくらいの歳の子は言い出したら聞かないから厄介だ。


「おねえちゃん、はやくカレシさん来たらいいね!」

「んー、彼氏さんじゃないんだよー」


お手玉をしながら苦笑して子供達を見る。まるで、自分の小さいときを見ているみたいだ。





 


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