Je vous aime. | ナノ
感動の再会、すぐ苦労
「蝮ちゃん……!!」
「清……っ!」
清を連れて任務に行こうと出張所の玄関を出たら、ばったり今帰ってきたらしい蝮と遭遇した。蝮と清はそのまま二人の世界に入ってしまった。思いっきり抱きしめあえるのは女同士の特権やと思う。蝮、そこかわれ。
「おいお申、何ジト目で見とんねや。きしょくわるいわ消えろ」
「なんやと蝮!誰かきしょく悪いねん!もうお前清から離れ!!」
「はっ、嫉妬かいな、醜いの!」
「まぁまぁ、」
売り言葉に買い言葉で喧嘩を始めようとした俺達を苦笑いで止める清。清に免じて今は許したるわヘビ!蝮はそんな俺をフルシカトしよってまだ清にひっついとる。ベリッ、蝮の着物の後ろ襟首を掴んで清から引き剥がした。
「なにすんねん!邪魔しなや!」
「邪魔なんはお前や!清は今から俺と任務や!」
「うん、そうなんだ。ごめんね蝮ちゃん。帰ってきたら一緒にご飯食べようね!」
「し、しゃあないな!志摩!お前清に怪我なんぞさせよったら私が息の根止めてやるわ!」
「言われなくても怪我なんかさせんわ!とっとと居ね!」
ほな、気をつけてな。
蝮は最後にそう言ってほんまに同一人物か疑うくらい穏やかな顔して清を抱きしめ、出張所の中へ入って行った。
「まだ仲悪かったんですね」
「あいつとはこの先一生仲良うできる気がせんわ」
「二人が仲良しやと、私は嬉しいんですけどねー」
そういや、ガキの頃から俺達の喧嘩の仲裁役は清だった。言い争い程度ならニコニコ笑って側で聞いていたが、手が出そうになると間に入って話題をずらして煙に巻いとった。
てくてく、他愛ない昔話に花を咲かせながら今回の任務先である近くの寺に歩いて行く。