Je vous aime. | ナノ
意識してしまうの



「名前って、じゅう、にい、ですか?」

「おん、今度からそれで呼んでな!」


蛸か言うくらい真っ赤な顔をした清を見上げる。
かいいなぁ。かいらしいなほんま。


「柔兄、は、ずかしい、です」

「こないだは呼んでくれたんに」

「あのときは!まだ、昔のままの、柔兄やと思っとったから……」


今はもう、仕事できるしかっこええし、大人の男の人にしか見えん。

不覚にもその台詞にやられて、清を支えていた腕を放すところやった。
危ない危ない、落としてまうかと思った。
でもこれは、かなり脈ありなんちゃう?
真っ赤な顔といい、今の言葉といい。
やば、俺今高校時代に戻ってる気分や。
いや、高校時代にこんな恋をしたことがあるからとか、そういうわけでなく、なんか青春してる気分。
25で青春言うてもなー。

とりあえずここでさいならしたら、志摩隊長呼びは継続しそうやから、呼び方だけでも変えてもらわんと。


「なら、柔造でもええよ?」

「柔、造、さん?」

「っ……、ええやん、それで。今度からそう呼んでや」

「どっちも恥ずかしいです!」

「でも、どっちかにせんと、下ろさんよ?」


小さい声で柔造さん、と呼んだのをしっかり確認して、床に下ろしてやる。


「次からはそう呼ばんと返事せんからな!ほな、俺仕事あるから行くわ。清も仕事頑張りー!」


それだけ言ってダッシュで仕事場に戻る。
あかん、こら戻ったらお父にしばかれそうや……。
でも、別にええか。

廊下を走って戻ってる途中、金造や他の所員に顔にやけてる言われて、初めて気づいた、自分の顔。
俺今にやけとんのか。


これから、どうやって清を落とそうか。





あやめも知らぬ恋

(どうしてよいか分からない恋。)



 


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