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副官が副官になった理由



「副官は、なんで官吏になろうと思ったんですか?」
「んー?……話すと長くなるよ?」
「別に構いません」
「じゃあ、仕事はしながら聞いてね、新人ちゃん」






俺がガキの頃、貴陽で大飢饉かあった。あ、新人ちゃんも経験してるか。まあ、そんとき俺は両親亡くして、路頭に迷ったわけだ。そんな俺を、なんの血縁関係もねぇ一人の婆さんが助けてくれた。その人は俺に、もうすぐ偉い人が助けてくれるから頑張れ、って言って、死んじまった。俺はその婆さんの言葉を信じて、一日一日精一杯生きた。だけどな、正直限界だった。食い物はねぇし、そこら辺に死体はごろごろ転がってるしで、肉体的にも精神的にもだめだった。いくら待っても助けは来ねえしな。死のうと思った。短剣を盗んできて、それでも踏ん切りがつかなくて困ってた俺を、ある人が笑ったんだ。子供の分際で死を望か、ってな。その人があまりに綺麗で見とれてた俺をその人は気絶させた。んで、助けられた。その人は俺に、生きるために必要なものはすべてくれた。俺を助けてくれた理由はわからねぇが、理由なんてどうでもいい。恩返しがしたかった。あ、あと、助けにこなかった官吏共を蹴落とすためもあるな。蹴落とせなくても、俺の足元に跪かせてぇな、とは思うな。まあ、そのために官吏になったんだ。………、民が、当たり前のように救われる国に、するた
めに、な。




「……、副官」
「ん、なに?」
「実はすごく立派な方だったんですね」


理由

(新人ちゃんは一体俺をどんなやつだと思ってたんだ)
(官吏なれちゃったラッキーくらいのノリかと思ってたわ)





 


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