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「呼んで」




「新選組、覚悟!!」


なんでこんなことになってるかと言うと、あの後稽古を終わらせた私は、巡察のため町へ出たが、迷子を見つけてきた平隊士の田中くんと一緒に子供の親を探すため他の隊士と離れ二人で歩いていた。
実はその子は攘夷派の連中の子供だったらしく、うまい具合に河原に誘われて囲まれて、襲われているわけです。あー、やになっちゃう。

相手は多分、二十人くらいか。ちょっと多いけど、無理……てほどでも。いやでも、確実に怪我はするかな。さっきの稽古のせいで若干満身創痍だ。
この場合、実戦慣れしてない田中くんをどうするかが問題だ。まあ、ここに居られても、無駄死にさせるだけかな。
自分の後ろにいる田中くんに小声で話しかける。


「田中くん、左之か新八を呼んできて。最悪平助でもいいや。あ、もちろん土方さんだけは間違っても連れてくるなよ」
「え!?夕さんは!!」
「俺は大丈夫だよー。ほら、早く早く」


肩越しに振り返って安心させるように笑ってやる。
田中くんは私の意図を察したのか、意を決したように力強く頷いて走っていった。


「おい!一人逃げたぞ!」
「追え!」


二人、私を無視して田中くんを追いかけていった。そいつらの後頭部めがけて足元に落ちていた拳くらいの大きさの石を振りかぶって投げる。よし、命中。


「俺を無視して行くなんて酷いなぁ、おっさん」
「餓鬼、てめぇ!!」
「あまり怒ると禿げるよ、おっさん。あごめん、手遅れだったね」
「うるせぇぇえええええ!!」


ああもう、面倒くさい。とため息をついて俯いた。
ゆっくり顔を上げる。まっすぐ向かってくる敵を見据えて、私は笑った。


河原



 





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