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「刀抜け」



「聞いたぞ総司。見られたんだって?」
「あれは僕のせいじゃないね。一君のせいだよ」
「嘘つくな嘘を、隊士に聞いてみろ、十人中九人は一君は悪くないって言うぞ」
「ひどいなぁ。でも、一人はいるんだね、僕を庇ってくれる人が」
「いるんじゃねーの?一人は。つか、源さんは?」
「あの子を連れて来てくれてるよ」


しばらく総司と無駄話をしていたら、源さんが少年?を連れてきた。少年?昨日左之は少年って言ってたけど、私には女の子に見える。さっそく総司が彼をからかい始めた。それを一君が止める。


「ひどいのは斎藤さんじゃなくて、沖田さんだと思いますけど……?」


少年は少しだけ沖田への嫌味が含まれた突っ込みをいれた。土方さんがそれに続いて呆れた声を出す。さすがの総司も黙った。最初から黙っとけばいいんだよ、と総司に耳打ちしたら腕を抓られた。


「でさ、土方さん、……そいつが目撃者?ちっちゃいし細っこいなあ……。まだガキじゃん、こいつ」
「何か言ってるぜ、新八」
「夕の言うとおりだな。おまえがガキとか言うなよ、平助」
「だな。世間様から見りゃ、おまえもこいつも似たようなもんだろうよ」
「うるさいなあ、おじさん達は黙ってなよ」


平助の発言を軽くあしらった私達を平助はにらみつける。だって、事実じゃん、と私は肩を竦めた。新八は平助のおじさん発言が気に食わなかったらしく、彼をどついている。左之はそんな二人を笑いながら冷やかしていた。
そんな彼らのやり取りを見て、少年は俯いてしまった。三人がやけに敵意を飛ばすからだ。山南さんが取り成してくれて少年は少し表情が明るくなった。


「いやいや、てか本題、ずれてるよ」
「そうだ、そうだった。斎藤君、昨日のことを話してもらいたい」


私の発言に近藤さんがしまった、とバツの悪そうな顔をし、一君に視線を送った。視線を向けられた一君は昨日の晩のことを掻い摘んで話していく。何も見ていない、と少年は主張していて、土方さんの表情が和らいだ。まあ、こんな少年、しかも一般人を殺すなんて、さすがに忍びないわな。
それでも沖田は殺すことをずいぶん推している。慈悲はないのかね君に慈悲は。私が隣で顔を顰めたらまた抓られた。私の心中の何かが、音を立てて切れた。


「沖田てめえ!さっきから何回も人の腕抓りやがって!刀抜け刀あ!!」
「なに、君が僕のこと馬鹿にするのが悪いんでしょ。まず最初にこの子じゃなくて夕を斬ろうかな」
「斬ってみろやこのやろー!返り討ちにしてやんぜ!」
「やめろ二人とも」


一君が仲裁に入ったからやめてあげた。一君は困らせたらいけない。かわいそうだからだ。
沖田この野郎。といじける私を一君はぎこちない手つきで撫でてくれた。まったく、大好きだ一君。


「土方さん、……結論も出ないし、一旦、こいつを部屋に戻して構いませんか?」


一君が私を撫でながら土方さんに言った。それに私も便乗する。


「ここに居て、機密聞かれても困るし、この子も、俺達も。だから、帰せば?」
「そうだな、頼めるか」


少年は少しほっとしたような顔で一君に連れられて部屋から出て行った。あの子、助かればいいなー。


対面




 





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