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「お前と」


「は、何?あいつら始末してんの、見られたの?一般人に?」
「あぁ、十六かそこらの坊主らしいぜ。土方さんが一応処分を決めるっつんで、連れてきたんだと」
「つか、そんなへました奴誰だよ」
「総司と斎藤」
「一君はいいよ、まあ。でも、総司、絶対あいつのせいだ」
「んな怒んなよ夕、まあ、一杯しよーや」
「あぁ、ありがと、左之」

夜、左之が笑顔で酒を持ってきたから晩酌に付き合ってやっていると、少し酔って顔を赤くした左之が、"あいつら"の始末を見られたらしい。という話題を出してきた。どうやら総司と一君が見られたらしく、土方さんがそいつを連れてきたらしい。まったく、何やってんだか。一君は日頃の行いがいいから許してやろう。でも総司、あいつ明日会ったらどんな嫌味を言ってやろうか。
そんなことを思いながら左之が注いでくれた酒を喉に流し込む。辛い。

「……、辛い」
「文句言うなよ、甘いのは高いだろ。それに、俺はこれくらいが丁度だけどな」
「つか、飲んでるの新八と平助に言わなかったら後々面倒じゃないか?」
「なんつーか、俺は今はお前と静かに飲みたい気分なんだよ」

そう言ってやわらかく笑う左之から、私は思わず目をそらした。
私が本当は女だってことは、別に隠しているわけではない。家が滅びた日から、隠すことをやめた。のだけれど、新選組のみんなは私のことを男だと思っていると思う。いまさら実は女だよ。なんて言うのも照れくさいので黙ったままだが。
左之も私のことを男だと思っている。だから、私が左之を思うこの気持ちが実ることはまずない。だから、いい友達を演じる。演じるしかない。

「そりゃ、嬉しいな」
「そうか。なら、次誘うときは甘い酒にしてやるよ」
「そうしてくれ」


晩酌


 





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