sweet | ナノ




「悪いな」


「許せねぇ、……いくら新八でも、許せねぇよ!!」
「悪いな。だが、俺は俺の信念を通させてもらうぜ!」
「させない!お前がそれをすることによって、どんだけの奴が悲しむと思ってんだ!!」


夕が剣を抜いた。それを見て諦めたように新八も剣を抜く。二人の間には触れれば動けなくなりそうなほどの殺気が満ちている。何が二人をこうさせてしまったのか、二人の間に何があったのか。俺は二人を遠めで見ながらため息をついた。








「今日の晩飯は魚だって決めてただろ!!!」
「今日は俺が当番の日だ!よって、今日の晩飯は俺が食いたい肉だ!!!」


もう一度、深いため息をついた。

夕は基本、肉は食わないやつだ。それでも怪我をしていたからたくさん栄養を取れってことで肉ばかり食わされていて相当本人は魚が恋しかったらしい。全快した今日、やっと魚が食えると楽しみにしていたのを俺達は知っていた。まあ、何を血迷ったか新八は肉料理にしやがったが。
で、それが原因で今に至ると。
平助が俺の隣でため息をついた。


「正直俺はさー、魚でも肉でもどっちでもいんだけど」
「あぁ、俺もだ」
「そんなことない!魚肉魚魚の黄金の順番を守ってこそ大きくなれるんだぞ平助!」
「違う!肉肉肉魚肉だ!筋肉をつけるには肉が一番だ!肉を食えば大きくなる!わかったか平助!」
「うるっせーよ!二人して大きく大きく言いやがって!」


平助も売り言葉に買い言葉で飛び出していった。私闘はご法度だぞー、と言う俺の声も聞こえていないらしい。平助はどうやら新八側につくみたいだ。左之ぉ!お前もこい!新八が大声で俺を呼ぶ。俺は入らない、という意味をこめて手をひらひら振ったら、平助がきれた。


「我関せずみたいな顔しやがって!左之さんのおっさん!女たらし!」


イラッ。頬が引きつっている気がする。気のせいだ俺。この騒動にかかわってみろ、土方さんに大目玉喰らうぞ。無視だ無視。俺はおっさんでもねーし、女たらしでもねー。


「左之ぉ!お前も男なら肉派を貫き通すべきだろ!腰抜けか!」


「お前ら、人が黙って聞いてりゃ、好き放題言いやがって……!!」


我慢の限界がきた俺はとりあえず夕の横に立って二人と対峙する。土方さんの説教なんてこの際たっぷり聞こうじゃねぇか。晩飯のおかずなんて肉でも魚でもどっちでもいいが、ここまで言われて黙ってたら男が廃るもんだろ。
俺は愛用の槍を構えた。


「左之、とりあえず、あの二人をボッコボコにしてから魚の良さを語り合おう」
「魚はどうでもいいが、協力してやるよ、夕」




対決





 





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -