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「…いた」


左之に女だと言うことがバレて三日経った。左之は前と全く変わらない態度で接してくれている。まあ、たまに挙動不審になったりしているが。新八や平助とか、他の人達には言っていないみたいだ。本当、いいやつだと思う。畜生、そういうところが好きだ。
足の傷はと言えば、もう治ってしまった。私は昔から傷の治りが異常に早い。そう言えば昔、このことを父様に言ったら、すごい剣幕で他の人には言うなって怒られたっけな。なんでだろう。

じゃなかった。私は今屯所を脱出しようと隠れています。だって、ずっと寝たきりはつまらな


「なぁにやってんだ、夕」
「!?!?さ、さの!」


見つかりました。部屋から出てまだ五歩です。自分、監察方にはむかないと思いました。
左之に猫よろしく後ろ襟を掴まれ、部屋まで引きずられる。


「いやだぁぁああ!寝てたくないぃいいいい!」
「我が儘言うなよ。ったく、いくつだお前」
「永遠の十七歳だよ左之、知らなかったの」
「はいはい。ほら、団子持ってきてやったから、食おうぜ」


頭をぽんぽんと撫でられる。必死に平然を装うが、内心ドキドキだ。


「夕!遊びに来てやったぜ!って、左之も一緒か」
「悪かったな俺がいて」
「や、そーいうんじゃねぇけどよ」
「新八、平助は?」
「あいつならいま巡察だぜ。んじゃま、三人でいっちょ、いきますか!」


私の部屋の障子を断りもなく開け、ずかずか入ってきた新八は左之の隣に座り酒瓶をどんっと畳の上に置いた。左之の目が嬉しそうに輝いたのを私は見逃さなかった。好きだもんね、酒。


「二人で飲んでくれよ」
「夕は飲まねーのか?」
「俺これでも一応怪我人だよ。土方さんに見つかったらやばい」
「だーいじょうぶだって!そんときゃ、俺らが何とかするし。な!左之!」
「俺は知らねーぞ。新八が無理矢理誘ってきましたって言うからな」
「ひでぇぞ左之!飲むだけ飲んで酒持ってきた俺を捨てるのかっ!」
「うるせーよ新八」


ギャーギャー騒ぐ新八を蹴り飛ばす。あ、怪我してたほうの足で蹴っちゃった。気付いたときにはすでに手遅れで、左之と新八はびっくりした顔で私を見ていた。


「……、いて」
「あほ!嘘だろ!」
「あたたた。足が取れそうだ」
「嘘つけ!何だいまの変な間は!」


新八、左之と順番に突っ込まれた。いや、昔から傷の治りが早くて。と笑っておく。傷は見せないでおいた。それで納得してくれたのか、話は逸れた。
単純なやつらでよかった。


私は誤魔化すように新八の手から杯を奪って、一気に飲み干した。


部屋








 





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