sweet | ナノ




「本当は」


「あああ、つまんねーよー」
「仕方ねぇだろ。つか、自業自得だ」
「うっせ、」


私はあの後駆けつけた左之に負ぶわれて屯所に戻ることになった。道中、散々左之に説教をされた。お前は自己防衛能力がなさすぎるだの、田中と協力しとけばよかっただの、少しは自分を大切にしろだの。
田中は左之をはらはらしながら見ていた。
屯所に戻った私は土方さんに労わられ、総司にからかわれ、新八に責められ、大変だった。
新八が責める理由は何故俺を呼んでくれなかったんだ!だ。決して私を心配する心から出た言葉ではない。自分もあの乱闘の中に混ざりたかったからだ。
平助は私の代わりに巡察に行ってくれたらしい。やっぱり平助いい子だ。


それから二日後の今、私はおとなしく自室で寝ている。暇だから左之を呼んでみたけど、やっぱり暇だ。


「左之、暇だ」
「わかったようるせーな」

「ひまああああ」
「だから俺がいんだろ!」


十回くらい暇を連呼したら、左之がキレた。怪我人の私を殴るわけにもいかず、左之は握ったこぶしを震えさせていた。ははは、どうだ手を出せまい。私がそう勝ち誇って笑うと、左之は何かに気づいたようにニヤリと笑った。


「殴れねーけどな」


両手をワキワキさせながら、寝ている私に覆いかぶさる。くすぐるつもりらしい。上に乗られて私は身動きが取れない。
密かに思いを寄せている左之に上に乗られてドキドキしてる半面、同じくらいヒヤヒヤもしてる。
なぜって、

ずっと寝てたから、さらししてないだもん。


「やめ、左之、それだけは、ヤメテクダサイ」
「今更おせーな。暇なんだろ?俺が、たっぷり構ってやるよ」


たっぷり!?と悲鳴をあげつつ、精一杯反抗してみる。そりゃもう、左之を吹き飛ばしそうなくらい。けれど無情にも左之は私の両手を片手でやすやすと頭の上で拘束してしまう。
注意、私は今、男です。
でも本当は、女です!


「おらっ!」
「うひゃは!」
「…………??……!?」


ちょうど胸の横の脇らへんをくすぐろうとガシッと掴んだ左之は、固まった。左之の手が私の脇を掴んだまま止まる。なんとなくくすぐったくて、うへへ、なんて微妙な笑いが出てしまう。


「うひゃ!」
「………」
「あはは!やめ、左之、も、手、どけろってうははは!」


左之は無言で脇をくすぐってくる。そろそろ呼吸困難になりそうになったところへ、私の笑い声を聞きつけて誰かが部屋に近づいてきた。
そこでようやく左之の手が脇から離れた。


「お前、女、なのか?」


障子が開くのと同時に、左之が言った。



発覚





 





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -