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「真子は、俺のことが嫌いなのか?」


私が天井裏に居ることを知ってか知らずか、幸村様が呟いた。
いつもより真剣な声音で。
答えようか答えまいか、迷ったあげく上司の気配が近くにないことを確認して幸村様の部屋におりた。


「真子、どうなのだ」

「ええまぁ、それなりに」


笑顔を貼り付けて答えた。
幸村様はこちらを振り向きもせず仕事を続けていた。

すこし、腹が立った。


「なぜだ?」

「佐助隊長を働かせすぎです。あの仕事量であの給料は少なすぎですよ」
「佐助隊長が、体こわしたらどうするんですか」
「幸村様は、忍使いが荒いんですよ」


言ってから、後悔した。
佐助隊長のことばかりだ。
これでは、気にしていますと公言しているようなものではないか。
まあ、幸村様はそんなこと気付かないだろうけど。
けど、幸村様は目を丸くして驚いて、そのあとにふわっと笑った。
いつも見るような笑みでもなく、団子をもらえたときのような笑みでもなく。


「佐助が、大切なのだな」

「あっ、たりまえじゃないですか」

「佐助もいい部下をもったな」


「はいはい、ほんとですよまったく」


ここに居るはずのない声が聞こえて、私と幸村様はそろって振り向く。
やっぱりそこに居たのは佐助隊長で、団子を持って壁にもたれ掛かっていた。


「おおっ!団子ではないか!」

「しっ失礼します!」


恥ずかしさから幸村様の部屋から飛び出た。
あれを聞かれていたなんて、好きですとバラしているようなものだ。
ああ最悪最悪。言うつもりなんてなかったのに。
これも幸村様のせいだ、と考えていたら、後ろから追いかけてくる気配を感じた。


「真子、待てって〜」

「えええ!なんで追いかけてくるんですか隊長!」

「真子が逃げるからだろ!」


多分、今までで一番の速さで逃げた。
一番頑張ったはず、なのに。

やはり隊長は隊長だった。
もうちょー速い。
隊長本気だしましたねってくらい。

なんとも一方的な追いかけっこは、隊長が私の左腕を掴んだところで終わった。


「離してくださいよ隊長!」

「なぁ、あれは、真子が俺のこと好きってことで、いいんだよね」

「隊長ならわかるでしょ!離してくださいもー!」


赤くなった顔を隠すようにして言えば、視界いっぱい迷彩柄になった。
え、え?
これは佐助隊長の…。


「よかった。じゃあ両思いだね、俺様たち」

「え?」

「俺様も、真子がすきだよ」


額に柔らかい唇の感触。
思わず額を両手で抑えたら、佐助隊長は優しく笑ってくれた。




(幸村様が恋の天使様)

 


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