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さようならを君へ

「じゃあ行ってくるね」

「…うん」

「いい子で待ってるんだよ」


ちょっと寂しそうな顔で笑って私の髪を撫でる佐助。
彼は私に背を向け、部屋から出ていこうと障子に手をかけた。


「…ちょっと」

「なぁに」


佐助は苦笑して背中に抱きついている私を振り返った。
だって、行ってほしくない。
怪我をして帰ってくる佐助なんて見たくない。
傷ついたように笑う佐助なんて、いやだ。


「…」
「俺様行かないと」


腰に回している私の手をポンポンと叩いて優しく解こうとする。

行かないで

私のそばにいて

ずっとぎゅってしていて

隣で笑っていて

口にしたい言葉はいくつもあるけど、佐助を困らせるのはいや。
だから私は綺麗に笑顔を作って、さよならの言葉を伝えた。


「いってらっしゃい、佐助」



二度と帰らないあなたへ、
さようなら、私の愛しい―





 


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