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やきもちもち



「なあ真子」

「…なに」

「何怒ってんの?」

「怒ってないし」


ソファーに座ってのこのやり取り、5回目である。
昨日真子が買い物の帰り、見慣れた銀髪を見つけ後ろから飛び付こうとしたが、銀時の隣に見知らぬ女性がいた。

だれあれ

真子がその場で固まったのは言うまでもない。真子と銀時の仲は世間で言うなれば『恋人』というやつだ。
彼氏が彼女でない別の女性を連れて歩いている。
ずいぶん遠まわしな言い方をしたが、要するに『浮気』というアレ。
その場で銀時に右ストレートを決めに行かなかった自分を誉めてあげたいと真子は後々思った。
次の日に問いつめてみようとして、今に至る。


「銀時、なんで私が怒ってるかほんとに分からないの?」


改めて横を向いて銀時と向き合う。
じーっと見つめるが、それでも彼は分からないようだ。
はあ、とため息を思わずついた。


「昨日の昼過ぎ、一緒にいた女の人はだれよ」

「…え、」

「髪が長い眼鏡の女の人」

「や、真子、あれは」

「先週は目に傷がある黒い着物の女の人」

「ちょ、真子」

「その前は新八くんのお姉さん」

「真子!」


止まらなくなった真子の言葉を遮るように銀時が声を荒げた。
反射で真子は肩を竦め、顔を歪めた。
銀時の普段あまり聞かない怒鳴り声のような声音に涙がでてくる。

嫌われたかもしれない。面倒な女だと思われただろうか。

悪い考えは真子の頭のなかでどんどんドツボにはまっていく。
次から次へでてくる涙を拭くために、着物の端で目をこすった。


「真子、聞けよ」

「なに」


目をこすっていた腕を銀時に掴まれた。
逆の手で顔を隠そうとしたら、その手も掴まれた。


「俺は、真子しか見えてねーから」

「でもっ…」

「あれは、向こうから勝手に寄ってきたり、仕事の話だったり、全部そーゆうんだ。やましいこと…、真子が心配してるよえなことは1つもねぇよ」


ほんとに?と銀時を見あげたら、真子は触れるだけのキスをされた。
唇が離れてから、あぁ。と銀時は笑った。


「真子以外の女になんか、興味ねぇよ」



頬にふれた唇は、涙をぬぐってくれた。



やきもちもち

 


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