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タール50mg


「また、吸ってんスか」

「あー?あー、うん。うーん。まあね」


最近真子さんのタバコの消費量がはんぱじゃない。前は多くて一週間に一箱くらいだったのに、最近二日で一箱だ。いや、なんでそんな職場の女の先輩のタバコ量まで把握してんだって、それは、あれだ。共同の灰皿見てれば……なんとなく、分かるつーか……。まあこの話はいい。
とりあえず俺が言いたいのは、さいきん真子さんの機嫌がすこぶる悪いということだ。


「そーいえば、静雄くんのタバコはアメスピだったね」

「え?そーっす、けど」

「一本おくれよ。それ、Duoよりタール高いでしょ」

「あげませんよ。つか、真子さん、いい加減にしてください」


真子さんが口にくわえているタバコを俺はひっこぬいて、灰皿に押し付けて火を消した。少しあっけにとられていた真子さんはむすっとした顔で俺をしたから睨みつけてきた。全然こわくねー。


「なにすんの」

「吸いすぎっす」

「自分だって吸ってるくせに」

「真子さんがなんか自分の寿命縮めてるみたで、嫌なんです」

「………、ばーか」


真子さんは俺の肩を弱弱しく叩いて、俯いたまましゃべらなくなった。俺の肩に当てられたままの拳をそのまま掴んで、引き寄せる。真子さんは抵抗せずに俺の腕のなかに収まった。女にしては長身な真子さんの頭が、丁度俺の顔のしたにくる。いい位置にあったので、真子さんの頭に顎をのっけて、片腕だけで肩を抱いた。


「優しく、すん、なよぉ……!」

「嫌っす。俺が真子さん、甘やかしてーから」

「勘違い、しちゃう、からっ」



その言葉を聞いて、返事はすぐに思い浮かんだ。サラッと口に出しそうになって、冷静な半分の俺がそれを止める。恥ずい。いやでも、こんなやりかた嫌だが、弱ってる今がチャンスだろ。言え、言え俺。
緊張のせいか荒くなる呼吸を気づかれないように、小さく息を吸い込んで耳元で告げた。


「好きっす、真子さん。そんな、悲しませねぇ、から……、俺を、好きになって、ください」




タール50r




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主人公はストレスがたまるとタバコを吸いまくる子
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