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ハイスペック



「スンダこっち!」

「っ……!」


聞きなれた自分の彼女の声に振り向くと、草むらから手が伸びてきた。俺より一回りも小さいその手を迷いなく掴んで草むらに飛び込んだとたん、後ろから大きな爆発音が鳴った。僧院の連中もやることがえげつない。ちょっと大きな街へ買出しに行った帰りにこれだ。もう俺一人で出歩けねーな。真子が居てくれて助かった。


「あ、っぶねぇ」

「しっかりしてよねリーダー」

「悪い、助かった」

「つか、ほんと僧院の連中邪魔ですね」


頭の上を青い光が走る。ここで俺をしとめようって気か。真子の手を引いて木の陰まで走る。こんなときなのに、真子の手の小ささとなめらかさに愛しさが湧き上がってきた。


「リーダー武器は?」

「いちおう、銃が一丁」

「次からは外でるとき最低でも二丁持ってくださいね」


真子はそう言いながらウエストポーチの中から手榴弾を取り出して、歯で栓を引っ張って抜いて僧院のいるほうに放り投げた。一拍置いて爆発音がした。休む間もなく肩に担いでいたサブマシンガンを乱射。ほんとに抜かりない。


「後ろは私が見るんで、早いとこ行きましょう」


高い位置で括られた真っ黒な長い髪の毛をゆらしながら真子は俺のほうを振り返ってそう言った。頷こうとした瞬間、木の反対側からなぜかあの武器を持っていない僧院の奴が出てきた。くそ。今度は俺が真子の手を引っ張り、銃を抜きながらこっちへ引き寄せる。抱きしめて守ろうとした、

が、


「ほんと、しつこいです」


真子が履いていたブーツが僧院の奴の顔にめり込んだ。上半身は俺に引っ張られたまま、華麗なハイキックを真子は決めやがった。顔面を押さえて悶える奴の股間を止めを刺すように蹴り上げる念の入りよう。自分の頬が引きつるのが分かった。浮気とかは絶対しないようにしようと俺は心の中で硬く誓った。

それから俺はやけにハイスペックな戦闘力の部下兼彼女に守られながらそれこそ余裕で、船に帰ることが出来た。買出しの荷物も無論無事。


「兄さま!大丈夫!?」

「あぁ、平気だ」

「僧院の戦闘能力も落ちましたねー。股間まで鍛えとけってんですよ」

「真子姉さま!兄さまを狙った僧院はけちょんけちょんにしてきたんですよね!?」

「もちろん、エンリちゃんはお留守番ご苦労さま」


うちの船の女性人は強いと再認識した日曜日。



ハイスペック




 


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