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HAPPY BIRTHDAY



7月4日、正確に言えば7月3日の24時ぴったりに色々な人からメールが来た。すっかり自分の誕生日を忘れとった俺は、すやすや夢の中におって、夜中にもかかわらずひっきりなしに鳴る携帯の着信音で目を覚ました。


「おい、志摩、携帯鳴ってんぞ」

「あぁ、すんません坊、……ていうか、こんな時間まで勉強ですか?子猫さんまで」

「おぉ……、まあな」


坊と子猫さんは二人してまだ机に向かっとった。ほんま変態やなー、と呟いて携帯を見る。
新着メール7通。


「うお、7通も来とる」


一通目、柔兄。
元気か廉造?誕生日おめでとう。こんどこっち帰ってきたらプレゼント買うたるさかいな、しっかりやれよ。

二通目、一番上の姉ちゃん。
お誕生日おめでとう!塾大変だろうけど、頑張りね!

三通目、奥村君。
お前今日誕生日なんだってなー!おめでとう!明日ケーキ作ってもってくから、楽しみにしとけよ!

四通目、二番目の姉ちゃん。
誕生日おめでとう。体に気をつけて、塾頑張ってください。

五通目、若先生。
誕生日おめでとうございます。明日提出の課題忘れずにやってきてくださいね。

六通目、金兄。
添付ファイル、虫の写メ。


「うっぎゃああああああ!!!!あんのドアホ!!!……、ん、あれ?まだあんねや」

虫の写メと誕生日おめでとうケーキの写メ。

七通目、真子。
外に来て。


「外に来て?って、なんやねん。坊、子猫さん、俺ちょっと出てきますわ」

「こないな時間にか?」

「多分、すぐ戻るんで」

「あ、志摩さん!その前に、はい、これ」

「ん?」

「俺からもやるわ」


ポンポン、投げ渡されたきれいに包装された袋が二つ。きれいに包装紙を解いて中を見てみれば、子猫さんからは俺が欲しかったアーティストのCD、坊からは参考書とミサンガやった。毎年この二人からはプレゼント貰ってるけど、いつもいつも嬉しいもんばっかりや。
俺は笑って二人にお礼を言ってから、部屋を出た。


「あ、廉造来た」

「来た、ちゃうねん、どしたん?こんな夜中に」


部屋を出て玄関まで行って、つっかけを履いて外に出たら街灯の下に小波がおった。こんな時間に危ない思ってすこし顔を顰めて側に寄ったら、へらへら笑って真子が抱きついてきた。シャンプーのいい香りがした。


「お誕生日おめでとー」

「あぁ、ありがとな。それ言うために来てくれたん?」

「うん、もちろん。さすがに勝呂と三輪より早くは言えなかったけど……。あ、はい、プレゼント」


部屋に帰ってから開けてね。と手渡された小さな箱。嬉しくて嬉しくて、自然とにやけてまうのが分かる。まあ、えっか。真子もにやけとるし。ありがとな、そう言って頭を撫でてやった。
そんなことしてたら、真子が急にまじめな顔して、俺のほっぺたを小さな両手で挟んで、顔を近づけてきた。鼻と鼻がくっつくくらいの距離で目があう。真子の真っ黒な目に、俺が映っとった。


「廉造、好き。生まれてきてくれて、ありがとう」


ちょっとだけ、唇が触れた。
真っ赤な顔して真子が走り去っていく。そういや、真子からキスしてくれたんは初めてやな。

一人でそこに突っ立ってるのもあれだから、にやけた顔も隠さず部屋に戻ったら坊にど突かれました。




HAPPY
BIRTHDAY

RENZO!!




 


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