log | ナノ
致死性愛



佐助が、笑った。最近見なかった、嘘偽りで塗り固められた偽者の笑顔。そんなに悲しい顔しないで、声に出そうとしたけど、声を出そうとした瞬間、口の中が血でいっぱいになった。


「くっ、……けほっ」


口のなかいっぱいの血を、私は迷わず地面に吐き出した。唇から顎にかけて血が伝う。それを拭うためにゆっくり、ひどく緩慢な動きで腕を上げたが、佐助に掴まれた。佐助は真っ赤な真っ赤な私の赤を見て、今度こそ本当に笑った。


「やっぱり真子は、綺麗な着物とか簪より、そっちのが似合うよ」


私の唇を、佐助はゆっくり、確かめるようになぞっていく。何度も、何度も。その右手は私を慈しんでくれるのに、佐助の左手は私を殺そうとする。左手が、私の首を掴んだ。私の大好きな佐助の手。ゆっくり、ゆっくり左手に力が込められていく。さっき佐助に刺されたお腹がじくじく、熱を持って自己主張を始めた。嗚呼、痛い、いたい、イタイ。


「例え仕事でも、俺様以外に抱かれるなんて許さないよ」


これはお仕置きなんだからね。そう言って口付けをくれた。息が出来なくなる。うっすらと目を開けたら、悲しそうな瞳の佐助と、至近距離で目が合った。だんだん、視界がぼやけてくる。意識が遠のいてくる。



私が意識を飛ばす瞬間、聞こえた言葉に眩暈がした。






「本当に、殺したいくらい愛してるんだぜ」






致死性愛







 


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -