log | ナノ
純情ダーリン



「あっ」
「す、すまぬ!!」


真田幸村様に嫁いでしばらく経った。幸村様は政略結婚の相手である私にとても優しくしてくれて、ここでの生活に不自由を感じることは一切ない。

今も、慣れない地に来た私を気遣って幸村様がお茶に誘ってくださった。縁側に座る私と幸村様の間には佐助さんが作ってくれたみたらし団子が置いてある。
みたらし団子に伸ばした手が幸村様の手に当たってしまい、慌てて手を引く幸村様。顔は真っ赤だ。


「……」
「……あ、……そ、その」


幸村様が手を引いたので自然、私のものになった最後の一本の団子を頬張りながら幸村様のほうを向く。
さっきより赤みが増した顔で、私のほうを真っ直ぐ見つめる視線から目が逸らせなくなった。


「そ、某はこの通り、女子に免疫がないゆえ、すぐに、赤くなってしまうことは、……許してほしい」


それだけ言って限界だったのか、幸村様は私から目を逸らし、膝の上で握り締められた拳を見つめた。


「政略結婚といえど、俺の元へ嫁いできたからには、お主のこと、……大切にしたいと、思う」


あまりの緊張に気づいていないのか、幸村様の後ろには佐助さんが立っていた。佐助さんは唇に人差し指を当て私に笑いかけた。

気が付くと、置いてあった自分の手に幸村様の手が遠慮がちに重ねられていた。重ねるといっても、小指同士が触れ合うくらいの、ささやかなものだったが。
私が自分の小指を幸村様のそれに絡めた。


「真子、幸せにする」




純情ダーリン




 


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -