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悪いな、俺チョコは食えないんだ。

バレンタインが過ぎた今日も学校に着いて車から降りた途端、女子生徒に囲まれた。あぁ、まだか。とりあえず口実を付けて断った。他の女から貰ったらかわいい嫁が泣くからな。チョコレートの猛攻は休み時間から昼休み、放課後、そして授業中にまで及んだ。やっとの思いで家に帰った。


「ただいまー」
「おかえりなさい左之助さん!」


晩飯を作ってたのか、誕生日に買ってやったエプロンをつけて真子ha
出迎えてくれた。やっべえな。満面の笑みにつられて俺は腕を伸ばし真子を抱きしめた。すっぽり。いい香りがする髪に口付ければ、腕の中の真子は小さく恥ずかしい、と呟いた。仕方なく離してやると、小走りでリビングへ行ってしまった。本当、かわいいやつ。
昨日チョコは明日あげると言われたから、きっと今日くれるはずだ。




晩飯を食い終わって真子を膝に乗せてのんびりしていると、真子は立ち上がって台所に行った。いよいよか、楽しみにしながら待っていると、チョコレートケーキが乗った皿を持ってきた。俺の嫁さんは料理がうまい。


「相変わらず、すげぇな」
「うん。頑張ったもん」


さっそく切り分けて食おうと思い、包丁に手を伸ばしたが、俺の手の上に真子の手が重ねられた。どうした、と真子を見ると、真っ赤な顔をした真子と目があった。


「食わねーのか?」
「あっ、あのね、……新八さんにね、左之助さんは何が喜ぶか聞いてみたらね、……、その、私、がいいんじゃないかって。私をあげれば、左之は喜ぶぞって。だから、だからねっ……」


そう詰まりながらも一気に言って、真子は首に赤いリボンを巻いて、綺麗にリボン結びにすると俺に抱きついてきた。


「わたしが、バレンタインのチョコレート、です」


プチっ。
自分の中で何かが切れた音がした。俺の理性が切れた音だと後から分かった。
後ろのソファーに真子を押し倒した。



新八にドンペリでも奢ってやらねぇとな。




for 左之助










 


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