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melt



朝起きて、大好きな人の顔がすぐ横にあるというのは、こうも幸せなものなのか。
私は左之の寝顔を観察しながら考えた。
山吹色の優しい瞳は、今は閉じられていて見えない。かわりに、普段あまり意識しない長い睫が見える。口を小さく開けて寝ている姿に、あどけなさを感じる。

「ん……」

形のいい輪郭に手のひらを滑らせると、左之は少し身じろぎをして、小さく声を出した。
思わず、自分の頬が緩むのがわかる。

「……、真子か?」
「おはよう、左之。ごめんね、起こした?」
「いや……、大丈夫だ」

くあっと欠伸をかみ殺す姿も愛しい。かわいい。やばい。これはやばい。もう、自分ではどうしようもないくらい、左之に溺れている。
衝動的に左之に抱きつく。厚い胸板に頬を擦り寄せる。左之ら少し笑って、私を抱きしめ返してくれた。私はすっぽりと左之の腕の中に収まった。

「今日は、やけに甘えただな」
「大好き、左之。愛してる。こんな言葉じゃ、足りないくらい」
「俺もだ。愛してるなんて陳腐な言葉じゃ、たりねぇ」

強く強く抱きしめられる。それこそ、息が止まりそうなほど。このまま溶けけ合えたなら、どれだけ幸せだろうか。

「言葉だけじゃたりねぇくれぇ、愛してる」
「左之、」
「左之助、って、呼べよ」

恥ずかしい、と反論しようとした口は左之の唇によって塞がれた。


「左之、助」
「誘ったのはお前だぞ、」
「誘ってなんてない」

俺はそう言う風に取ったんだ。がっかりさせんなよ?
意地悪そうに左之は笑って、私にもう一度口付けた。


melt




 


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