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放課後ロマンス



「サッカー部の彼氏と別れたんだって?」

何気なくボーッと放課後の教室で1人、グラウンドを見ていた。
そんなとき突然教室の扉がガラリと開いて、幼馴染の慎吾が入ってきた。
入ってくるなりそんなことを言うもんだから、私は怒って慎吾からわざとらしく目を逸らす。

「こんな時間になにしてんのさ」
「忘れものだよ、忘れ物」

そういって慎吾は自分の席へ近付き、机のなかを漁り始めた音がした。
私達のあいだに会話はそれ以上なかった。
居心地の悪い沈黙が教室いっぱいに広がった。
あいにく、今はそんなに喋りたい気分じゃない。
それでも慎吾はそうじゃなかったらしく、私の前の席に座って私に話かけてきた。

「お前最近、男とっかえひっかえだよな。前は付き合ったら最低でも1年は持ってたのに。最近はすぐ別れてるよな。しかも全部自分から振って。まじどうしたよ」
「別に、慎吾には関係ないじゃん」

饒舌に喋りだした慎吾を睨む。

いえない。幼馴染の慎吾が好きだってことに気が付いて、それでも今の関係を壊すのが怖くて、慎吾のこと忘れようと他の人で埋めようとしていたなんて、言えない。
付き合って別れてをもう何回繰り返しても、慎吾のことは忘れられなかった。
手までは繋げた。でも、キスはどうしてもできなかった。
気持ち悪かった。本当にすきでもない人とするのが。
相手は恥ずかしがってると勝手に勘違いしてくれたけど。

誰かといても、絶対に慎吾の影がちらつく。

「は?関係あんだよ。何のために俺が女とっかえひっかえやめたと思ってんだ。せっかく両思いっぽかったのに、人の気もしらねーでまったく」
「・・・・・・は?」

ふーやれやれ。と慎吾は首を横に振った。
慎吾が女遊びをやめたのは何のため?
両思いってのは、誰と誰が?
思考回路がどこかへとんでいた私の頬に、柔らかい感触がした。
慎吾の唇が触れたと分かるのに、丸々三拍使った。

「言っとくけどな、好きなやつのかわり見つけようなんざ、無理だぜ。余計好きなやつのこと好きになる。経験者は語る、だ」

思わず慎吾を穴があきそうなくらい見つめる。
高い鼻、形のいい眉、整った輪郭。
ずっと結ばれていた口が緩く孤を描いて、笑った。
ありえないくらい優しく笑うもんだから、鼻の奥がツンとなるのを感じた。
慎吾がボヤけて見える。

「泣くなって。これからは俺が幸せにしてやるから」

慎吾が座っていた席からたって、私のほうに回ってくる。
まるで王子様かなにかのように跪いて、私の手にキスをした。

放課後
(夕焼け色に君は輝いていました)




 


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